正則行列の大切な諸性質

最終更新 2018年 1月4日
目次
- 正則行列の定義
- 片側のみで定義可能
- 正則行列 $\Longleftrightarrow$ 行列式 $\neq$ 0
- 正則行列 $\Longleftrightarrow$ 列ベクトルが線形独立
- 正則行列 $\Longleftrightarrow$ 自明な解のみ
- 正則行列 $\Longleftrightarrow$ 解が唯一つ
- 逆行列は一つだけ
- 余因子行列による表現
- 積の逆行列
- 逆行列の行列式
- QR分解
- 逆行列の固有値
- 正則行列との積のランク
- 転置行列の逆行列
- 随伴行列の逆行列
- ユニタリー行列の逆行列
- 直交行列の逆行列
- 上三角行列の逆行列
定義
  正方行列 $A$ に対して、 正方行列 $B$ が
正則行列の定義
を満たすとき、$B$ を $A$ の 逆行列といい、$B = A^{-1}$ と表す。
  逆行列を持つ行列を一般に正則行列と呼ぶ。
逆行列は片側のみで定義可能
  正方行列 $A$ と $B$ が $AB=I$ を満たすとき、$BA = I$ が成立する。 すなわち
正則行列は片側だけで定義可能
が成立する。
正則行列 $\Longleftrightarrow$ 行列式が 0 でない
  $A$ が正則行列であることと行列式がゼロでないことは同値である。すなわち、
正則行列と行列式
が成立する。
正則行列 $\Longleftrightarrow$ 列ベクトルが線形独立
  $A$ が正則行列であることと、$A$ の列ベクトルが線形独立であることは同値である。すなわち、
正則行列と列ベクトル
が成立する。
正則行列 $\Longleftrightarrow$ 自明な解のみ
  $A$ が正則行列であることと、 $A\mathbf{x}=0$ の解が自明な解のみであることは同値である。すなわち、
正則行列と自明な解
が成立する。
正則行列 $\Longleftrightarrow$ 解が唯一つ
  $A$ が正則行列であることと、 $A\mathbf{x}=\mathbf{b}$ が唯一つの解を持つことは同値である。すなわち、
正則行列と唯一つの解
が成立する。
逆行列は一つだけ
    正則行列 $A$ は、逆行列を一つだけ持つ。二つ以上持たない。
余因子行列による表現
  逆行列 $A^{-1}$ は、 行列式の逆数 $\frac{1}{|A|}$ と余因子行列 $\tilde{A}$ の積に等しい。すなわち、
正則行列の余因子行列による表現
と表される。
積の逆行列
  正則行列 $A$ と $B$ の積 $AB$ の逆行列は、$B^{-1}A^{-1}$ である。 すなわち
積の逆行列
である。
逆行列の行列式
  逆行列の行列式は、 行列式の逆数に等しい。すなわち、
逆行列の行列式
が成立する。
QR分解
  任意の正則行列 $X$ は、直交行列 $Q$ と上三角行列 $R$ の積に分解できる。 すなわち、
正則行列とQR分解
と分解できる。
逆行列の固有値
  正則行列 $A$ の固有値が $a$ であるならば、 $A^{-1}$ の固有値は、$\frac{1}{\lambda}$ である。 すなわち、
逆行列の固有値
が成立する。
正則行列との積のランク
  行列に正則行列を掛けてもランクは変わらない。 すなわち、行列 $A$ と正則行列 $B$, $C$ に対して、
正則行列とランク
転置行列の逆行列
  正則行列 $A$ の転置行列 $A^{T}$ の逆行列は、$(A^{-1})^{T}$ である。 すなわち
転置行列の逆行列
である。
随伴行列の逆行列
  正方行列 $A$ の随伴行列 $A^{\dagger}$ の逆行列は、 逆行列の随伴行列である。 すなわち、
随伴行列の逆行列
が成り立つ。
直交行列の逆行列
  直交行列 $R$ の逆行列は 転置行列である。 すなわち、
直交行列の逆行列
である。
ユニタリー行列の逆行列
  ユニタリー行列 $U$ の逆行列は 随伴行列である。 すなわち、
ユニタリー行列の逆行列
である。
上三角行列の逆行列
  上三角行列の逆行列もまた上三角行列である。