QR分解とその証明  

最終更新 2017年 8月27日
  任意の正則行列 $X$ は、 直交行列 $Q$ と上三角行列 $R$ の積に分解できる。 すなわち、
QR分解
と分解できる。
  これを正則行列のQR分解という。

  証明

  $X$ を $n\times n$ の正則行列とし、 列ベクトルを $\mathbf{x}_{1}, \mathbf{x}_{2}, \cdots, \mathbf{x}_{n}$ と表す。
$X$ が正則行列であるので、 列ベクトル $\mathbf{x}_{1}, \mathbf{x}_{2}, \cdots, \mathbf{x}_{n}$ は、 互いに線形独立である (証明は「正則行列⇔列ベクトルが線形独立」を参考)。
  グラムシュミットの直交化法によって、 互いに線形独立なベクトルから、互いに直交する大きさ 1 のベクトルを生成することができる。 すなわち、$\mathbf{y}_{1}, \mathbf{y}_{2}, \cdots, \mathbf{y}_{n}$ を
と定義すると、 これらは互いに直交する大きさ 1 のベクトルになる。 すなわち、
を満たす。ここで $\delta_{ij}$ はクロネッカーのデルタであり、 $i,j=1,2,\cdots,n$ である。
  上の式 から $\mathbf{x}_{i}$ を
と表せるが、 これは行列を用いると
とまとめられる。
  ここで行列 $Q$ と $R$ を
と定義すると、上の式は、
と表せる。
  $Q$ を構成する列ベクトル $\mathbf{y}_{1}, \mathbf{y}_{2}, \cdots, \mathbf{y}_{n}$ が $(1)$ を満たすので、 $Q$ は直交行列である。 すなわち、
を満たす (証明は 「 直交行列 ⇔ 列ベクトルが正規直交基底」を参考)。
  また、$R$ は上三角行列であるので、次の関係が示された。すなわち、 任意の正則行列 $X$ は、直交行列 $Q$ と上三角行列 $R$ の積によって $(2)$ にように分解できる。