簡約化行列の定義と幾つかの例  

最終更新 2018年 2月4日
  次の 4 つのルールを満たす行列を簡約化行列 (reduced row echelon form, rref) という。
ルール 1
  それぞれの行で左から順に $0$ が並び、最初に現れる $0$ でない成分の値が $1$ である (主成分が $1$ である)。
ルール 2
  主成分を持つ列の主成分を除く全ての成分は $0$ である。
ルール 3
  主成分が右側の列に行くほど下側にある。
ルール 4
  全ての成分が $0$ である行が、$0$ 以外の値を含む行よりも下側にある。
以下に簡単な説明と具体例を記す。

  解説

 
定義
  簡約化行列とは、以下の 4 つのルールを満たす行列である。
ルール 1
  それぞれの行の成分で左から順に $0$ が並び、 最初に現れる $0$ でない成分の値が $1$ になる。 これは全ての行が
の形をしていることを意味する。
  ただし、 $0$ でない成分が現れずに、すべてが $0$ の成分であってもよい。 すなわち、
の行があってもよい。 また、一番左の成分が 1 である
の形の行があってもよい。
  左から順に $0$ が並び、最初に現れる $0$ でない成分を主成分 (leading entry) という。 そこでこのルールは、「主成分が 1 である」 と言い表される。
ルール 2
  主成分を持つ列の主成分を除く全ての成分は $0$ である。すなわち、
の形をしている。
  よって、 上から $d$ 番目に主成分がある場合、 その列ベクトルは、 第 $d$ 成分が $1$ であり、 その他の成分が全て $0$ である基本ベクトル
に等しくなる。
  従って、このルールは、「主成分を持つ列ベクトルが基本ベクトルになる」と言い表される。
ルール 3
  主成分が右側に行くほど下側にある。 すなわち、 簡約化行列は
の形をしている。 よって、 $d$ 行 $k$ 列に主成分があるとすると、 $k+1$ 列以降に主成分があるならば、 それは必ず $d+1$ 行以降にある。
 
ルール 4
  全ての成分が $0$ である行が、 $0$ 以外を成分に含む行よりも下側にある。 すなわち、
の形をしている。 ここで、$* \hspace{1mm} * \hspace{1mm} *$ を成分に持つ行は、 $0$ 以外の値を持つ成分を含む。
  以下の行列が簡約化行列かどうかを調べる。
(i)
この行列は、 2 列目の主成分が 2 である。 これはルール1 に反するので、 簡約化行列ではない
(ii)
この行列は、全ての主成分が 1 であるため、ルール1 を満たす。 しかし、3列目の列ベクトルが主成分を持つにも関わらず、基本ベクトルでない(第 1 成分が $0$ でない)ので、 ルール 2 を満たさない。 よって、簡約化行列ではない

(iii)
この行列は、 全ての主成分が 1 であるため、 ルール1 を満たす。 主成分を持つ列ベクトル( 1 列目と 3 列目)は、 基本ベクトルであるので、 ルール2 を満たす。 しかし、 1 列目の主成分よりも 3 列目の主成分が右上にある。 すなわち、 1 列目の主成分が 2 行目にあるのに足して、 3 列目の主成分がそれよりも上側の1行目にある。 これは、ルール3 に反するので、簡約化行列ではない
(iv)
この行列は、 全ての主成分が $1$ であるため、 ルール1 を満たす。 主成分を持つ列ベクトル( 1 列目と 3 列目)は、 基本ベクトルであるので、ルール2 も満たす。 1 行 1 列成分と 3 行 3 列成分に主成分があるが、主成分が右側に行くほど下側にあるので、 ルール3 も満たす。 しかし、2 行目の行ベクトルがゼロベクトルであるにも関わらず、 ゼロベクトルではない行ペクトル( 3 行目の行ベクトル)よりも上側にある。 これは、 ルール4 に反するので、簡約化行列ではない
(v)
簡約化された行列の例
この行列は、 全ての主成分が 1 であるため、 ルール1 を満たす。 主成分を持つ列ベクトル( 1 列目と 3 列目)は、 基本ベクトルであるので、 ルール2 も満たす。 1 行 1 列成分と 3 行 3 列成分に主成分があるが、 主成分が右側に行くほど下側にあるので、 ルール3 も満たす。 ゼロベクトルである行ベクトル( 3 行目の行ベクトル)が、 ゼロベクトルではない行ペクトル( 1 行目と 2 行目の行ベクトル)よりも下側にあるので、 ルール4 を満たす。 よって、 簡約化行列である