随伴行列の定義と大切な8つの性質

最終更新 2017年 5月6日
随伴行列の定義
  行列 $A$ の随伴行列 $A^{\dagger}$ とは、 $A$ の転置行列の各成分を複素共役にしたものである。 すなわち、 $A$ の各成分を $A_{ji}$ と書き表すとき、 $A^{\dagger}$ の各成分 $A^{\dagger}_{ij}$ は、
随伴行列の定義
と定義される。
随伴行列の反線形性
  随伴行列の反線形性を持つ。 すなわち、
随伴行列の反線形性
が成り立つ。
随伴行列と複素内積の関係
  任意の $n$ 次複素ベクトル $\mathbf{x}, \mathbf{y}$ の内積を
と定義するとき、任意の正方行列 $A$ は、
随伴行列と複素内積の関係
を満たす。
  ここで、$A^{\dagger}$ は $A$ の随伴行列であり、$x_{i}^{*}$ はベクトルの成分 $x_{i}$ の複素共役である。
積の随伴行列
  行列 $A$ と $B$ の積の随伴行列 $(AB)^{\dagger}$ は、 積の順番を逆にした随伴行列の積に等しい。 すなわち、
積の随伴行列
が成り立つ。
随伴行列の逆行列
  随伴行列 $A^{\dagger}$ の逆行列は、 逆行列の随伴行列である。 すなわち、
随伴行列の逆行列
が成り立つ。
随伴行列の随伴行列
  随伴行列の随伴行列は、 もとの行列である。 すなわち、
随伴行列の随伴行列
が成り立つ。
随伴行列の行列式
  随伴行列の行列式は、 もとの行列の行列式の複素共役である。 すなわち、
随伴行列の行列式
が成り立つ。
随伴行列の固有値
  随伴行列 $A^{\dagger}$ の固有値は、$A$ の固有値の複素共役である
随伴行列のトレース
  随伴行列のトレースはもとの行列のトレースの複素共役に等しい。 すなわち、
随伴行列のトレース
が成り立つ。
補足
  本サイトでは、 随伴の記号に $\dagger$ を用い、 複素共役に $*$ を用いているが、 これは物理学や一部の工学の慣習に従っている。 一方で数学の世界では、 随伴の記号に $*$ を用い、 複素共役にバー ( 例: $\overline{A}$ ) を用いることが多い。