ユニタリー行列の定義と大切な性質

最終更新 2017年 12月4日
目次
- ユニタリー行列の定義
- ユニタリー行列の積
- ユニタリー行列の逆行列
- ユニタリー群
- ユニタリー行列の行列式
- ユニタリー行列の固有値
- 累乗のユニタリー変換
- ユニタリー行列はエルミート行列の指数関数
- ユニタリー変換はトレース不変
- ユニタリー行列は内積とノルムを不変に保つ
- ユニタリー行列の列ベクトルは正規直交基底
- 正規行列の対角化
- ユニタリー行列は片側のみで定義可能
- ユニタリー行列は片側のみで定義可能
ユニタリー行列の定義
  次の関係 \begin{eqnarray} U^{\dagger}U = UU^{\dagger} = I \end{eqnarray} を満たす行列をユニタリー行列という。 ここで $\dagger$ は随伴行列を表す記号である。
ユニタリー行列の積
  $U$ と $V$ がユニタリー行列であるとき、 これらの積 $UV$ もまたユニタリー行列である。 すなわち、
ユニタリー行列の積
が成り立つ。
ユニタリー行列の逆行列
  ユニタリー行列 $U$ の逆行列は 随伴行列である。 すなわち、
ユニタリー行列の逆行列
である。
ユニタリー行列は群を成す
    $n$ x $n$ のユニタリー行列全体の集合は、 行列の積に対して以下の3つの性質を持つ。
1.   積もまたユニタリー行列になる。
2.   単位元がある。
3.   逆元がある。
このことから、 $n$ x $n$ のユニタリー行列の集合全体が群を成すことが分かる。 これをユニタリー群と呼び、$\mathrm{U}(n)$ と表される。
ユニタリー行列の行列式
  ユニタリー行列 $U$ の行列式 $\det U $ は、 大きさ 1 の複素数である。 すなわち、
ユニタリー行列の行列式
が成り立つ。
ユニタリー行列の固有値
  ユニタリー行列 $U$ の固有値を $\lambda$、 固有ベクトルを $\mathbf{x}_{\lambda}$ とする。
ユニタリー行列の固有値
このとき、 固有値 $\lambda$ は大きさ $1$ の複素数である。 すなわち
ユニタリー行列の固有値
を満たす値である。
累乗のユニタリー変換
  正方行列 $A$ の累乗のユニタリー変換は、 $A$ のユニタリー変換の累乗に等しい。 すなわち、
累乗のユニタリー変換
が成り立つ。
ユニタリー行列はエルミート行列の指数関数
  任意のユニタリー行列 $U$ には、
ユニタリー行列はエルミート行列の指数関数
が成り立つエルミート行列 $H$ が存在する。
ユニタリー変換はトレース不変
  正方行列 $A$ のユニタリー変換 $ U^{\dagger} A U $ のトレースは、 もとの行列 $A$ のトレースに等しい。 すなわち、
ユニタリー変換はトレースを不変に保つ
が成り立つ。
ユニタリー行列は内積とノルムを不変に保つ
  ベクトルにユニタリー行列を作用しても、 内積とノルムは不変に保たれる。 すなわち、
が成り立つ。
  ここで、 $U$ はユニタリー行列であり、 $\mathbf{x}, \mathbf{y}$ は $U$ が作用する空間のベクトルである。
ユニタリー行列の列ベクトルは正規直交基底
  正方行列 $U$ がユニタリー行列であるための必要十分条件は、 $U$ の列ベクトルが正規直交基底を成すことである。 すなわち、
ユニタリー行列の列ベクトルは正規直交基底
が成立する。
  ここで、 $\mathbf{u}_{i}$ は $U$ の列ベクトルであり、 $i,j=1,2,\cdots, n$ である。
正規行列の対角化
  任意の正規行列 $A$ は、 ユニタリー行列によって対角化可能である。 すなわち、 \begin{eqnarray} U^{-1} A U = \Lambda \end{eqnarray} を満たす対角行列 $\Lambda$ とユニタリー行列 $U$ が存在する。
ユニタリー行列は片側のみで定義可能
  正方行列 $U$ が
を満たすとき、
が成立する。
  このことから、 ユニタリー行列は $ U^{\dagger}U=I $ の条件だけで定義できることが分かる。