正則行列 $\Longleftrightarrow$ 行列式が 0 でない

  行列が正則行列であるための必要十分条件は、行列式が $0$ でないことである。すなわち、
逆行列の存在と行列式
が成立する。

  証明

  はじめに
を示す。
  $A$ が正則行列であるとすると、$A$ には逆行列 $A^{-1}$ が存在し、
を満たす。
  積の行列式は行列式の積に等しいので、 左辺の行列式は
と表せる。 また、 右辺の 単位行列 $I$ の行列式は $1$ である。 よって、
が成立する。 これより
である。

  続いて
を示す。
  一般に行列とその余因子行列の積は単位行列と行列式の積に等しい。 すなわち
が成立する。 ここで $\tilde{A}$ は $A$ の余因子行列である。
  $|A|\neq 0$ である場合、この式から
が成り立つ。 これは、 行列 $\frac{1}{|A|}\tilde{A}$ が、 $A$ の逆行列であることを表している。
  よって、$A$ には逆行列が存在するので、$A$ は 正則行列である。

  以上から $$ A \hspace{1mm}\mbox{が正則行列} \hspace{5mm} \Longleftrightarrow \hspace{5mm} |A| \neq 0 $$ が成立する。