ベクトルの直交性とは
ベクトルの直交性
$0$ でないベクトル $\mathbf{v}_{1}$ と $\mathbf{v}_{2}$
の
内積が $0$ であるとき、
すなわち、
であるとき、
$\mathbf{v}_{1}$ と $\mathbf{v}_{2}$ が
直交するという
同じように、
$0$ でない $n$ 個のベクトル
のそれぞれの間の
内積が $0$ になるとき、
すなわち、
であるとき、互いに直交するベクトル、
または
直交系を成すベクトルであるという。
具体例 1:
二つのベクトル
の内積を
と定義するとき、
二つのベクトル
は直交する。
具体例 2:
関数 $f(x)$ と関数 $g(x)$ の内積を
と定義するとき、
は直交する。
直交系は線形独立
直交系を成す $n$ 個のベクトル
は、互いに
線形独立なベクトルである。
証明
$n$ 個のベクトル
$$
\tag{1}
$$
は直交系と成すので、
$$
\tag{2}
$$
が成り立つ。
ここで $\alpha_{i}$ $(i=1,2,\cdots, n)$ が
$$
\tag{3}
$$
を満たす係数であると仮定する。
このとき、
$(2)$ と $(3)$ より、
であるが、$(1)$ が
直交系を成すので、
$\mathbf{v}_{i} \neq 0$ であることから、
である (
内積の定義を参考)。
ゆえに、
$$
\tag{4}
$$
である。
以上から $(3)$ を満たす係数 $\alpha_{i}$ が $(4)$ になるので、
直交系 $(1)$ は互いに
線形独立なベクトルである。
ピタゴラスの定理
ベクトル $\mathbf{v}_{1}$ と $\mathbf{v}_{2}$ が直交するとき、
が成り立つ。
証明
$\mathbf{v}_{1}$ と $\mathbf{v}_{2}$ が直交するならば、
すなわち、
であるならば、
内積の性質により、
が成り立つ。