t 分布の期待値と分散の求め方

最終更新 2018年 9月8日
t 分布の定義
  確率変数 $X$ の確率密度関数 $p(x)$ が
t分布の確率密度関数
であるとき、$X$ が自由度 $\nu$ の t 分布に従うという。 ここで、$B( \hspace{1mm}\cdot\hspace{1mm},\hspace{1mm}\cdot\hspace{1mm})$ はベータ関数である。
T分布のグラフ
    自由度 $2$ の t 分布 (青色)
    自由度 $10$ の t 分布 (橙色)
t 分布の期待値
  確率変数 $X$ が自由度 $\mu$ の t 分布に従うとき、 $X$ の期待値は、
t分布の期待値
である。

証明
  確率変数 $X$ が自由度 $\mu$ の t 分布に従うとき、 確率密度関数 $p(x)$ が
t分布の期待値
であるので、 期待値
$$ \tag{1} $$ である。
  右辺の積分において、積分変数を $ s = -x $ と置くと、 $$
であるので、
と表される。最後の行は、非積分関数 $s$ を $x$ に置き換えて表しただけである。
  これより、
であるので、$(1)$ から、
である。

補足:
  確率密度関数が偶関数の期待値は必ず $0$ になる。 なぜならこの場合、期待値
が奇関数になり、 奇関数の積分が $0$ になるからである。 $t$ 分布の期待値はその一例である。
t 分布の分散
  $X$ が自由度 $\mu$ の t 分布に従うとき、 $X$ の分散は、
t分布の分散
である。 ただし、$\nu>2$ とする。

証明
  一般に分散は二乗期待値と期待値の二乗の差であり、 t分布の期待値が $0$ であることから
$ \tag{1} $ が成り立つ。 よって、 二乗期待値 $E(X^2)$ を求めれば、 分散 $V(X)$ が求まる。
  確率変数 $X$ が自由度 $\mu$ の t 分布に従うとき、 確率密度関数 $p(x)$ が
であるので、 二乗期待値 $E(X^2)$ は、
$$ \tag{2} $$ である。
  右辺の積分は、
$$ \tag{3} $$ と表せるが、第一項の積分は、$x=-s$ と置換すると、
であることから、
$$ \tag{4} $$ である。よって、$(3)(4)$ から、
であるので、二乗期待値 $(2)$ は、
$$ \tag{5} $$ と表せる。
  ここで右辺の積分の積分変数を
と置換すると、
であることから、
となる。最後の等式の $B(\cdot, \cdot)$ は ベータ関数である。
  よって、二乗期待値 $(5)$ は、
$$ \tag{6} $$ と表せる。
  ここで、ベータ関数の満たす性質
を、$s=\frac{\nu}{2}-1$, $t=\frac{1}{2}$ として用いると、
が成立するので、$(7)$ は、
と表せる。
  このようにして、二乗期待値 $E(X^2)$ が得られたので、t分布の分散 $V(X)$ は、$(2) $ から、
t分布の分散
である。