行列の合同とは? ~ 具体例と性質 ~
合同
$A$ と $B$ を $n \times n$ の正方行列とする。
$n \times n$ の
正則行列
$P$ によって
$A$ と $B$ が
の関係を持つとき、
$A$ と $B$ は
合同
(congruent)
であるという。
ここで $P^T$ は $P$ の
転置行列である。
合同の例
行列
と
は合同である。
なぜなら、
によって
が成り立つからである。
性質
(1)
実対称行列は合同変換しても実対称行列である。
すなわち、
\begin{eqnarray}
(P^{T}AP)^{T} = P^{T}AP
\end{eqnarray}
が成り立つ
(
転置行列の積の性質を用いて証明できる)。
(2)
ある
基底で構成される
グラム行列 $G$
と別の基底で定義されたグラム行列 $G'$ は
合同である。すなわち、
\begin{eqnarray}
G' = P^{T}GP
\end{eqnarray}
が成り立つ
(証明は「
グラム行列」を参考)。
(3)
半正定値行列 $P$ と
合同な行列もまた半正定値行列である。
すなわち、
\begin{eqnarray}
P \geq 0
\hspace{1mm}
\Longrightarrow
\hspace{1mm}
S^{T} P S \geq 0
\end{eqnarray}
が成り立つ
(証明は「
半正定値行列」を参考)。