コーシー判定法
コーシー判定法 (収束)
$0$ 以上の値を持つ数列 $\{ a_{n} \}$ の $n$ 乗根の極限が
確定し、
$1$ より小さいならば、
すなわち、
であるならば、
$\{ a_{n} \}$ から成る
級数
は収束する。
この収束判定法を
コーシー判定法 (Cauchy's root test ) という。
証明
はじめに
$$
\tag{1}
$$
である仮定する。
$\alpha \lt 1$ であることから、
$$
\tag{2}
$$
を満たす $t$ が存在する。
これより、
$$
\tag{3}
$$
と定義すると、$\epsilon > 0$ である。
$(1)$ より、$ \sqrt[n]{a_{n}}$ が $\alpha$ に収束するので、
この $\epsilon$ に対して、
$$
\tag{4}
$$
を満たす整数 $N$ が存在する (
数列の極限を参考)。
したがって、 $n> N$ であるならば、$(3)$ より、
が成り立つ。これより、
$$
\tag{5}
$$
である。
また、$(2)$ より、$t \lt 1$ であることから、
$$
\tag{6}
$$
(
等比級数の収束を参考)。
したがって、
$(5)$ と $(6)$ と
優級数定理とその
補足により、
コーシー判定法 (発散)
$0$ 以上の値を持つ数列 $\{ a_{n} \}$ の $n$ 乗根の極限が
確定し
$1$ より大きいならば、
すなわち、
であるならば、
$\{ a_{n} \}$ から成る
級数
は発散する。
証明
はじめに
$$
\tag{1}
$$
である仮定する。
$\alpha > 1$ であることから、
$$
\tag{2}
$$
を満たす $t$ が存在する。
これより、
$$
\tag{3}
$$
と定義すると、$\epsilon > 0$ である。
$(1)$ より、$ \sqrt[n]{a_{n}}$ が $\alpha$ に収束するので、
この $\epsilon$ に対して、
$$
\tag{4}
$$
を満たす整数 $N$ が存在する (
数列の極限を参考)。
したがって、 $n> N$ であるならば、$(2)$ と $(3)$ より、
が成り立つ。
これより、$n> N$ である全ての $n$ に対して、
$$
\tag{5}
$$
であるので、
が成り立つ。
したがって、
$a_{n}$ は $0$ に収束しないので、
$a_{n}$ から成る級数
は発散する (
各項が0に収束しない ⇒ 級数が発散を参考)。
補足
より一般的には、$\sqrt[n]{a_{n}} \geq 1$ である項が無数に存在するならば(すなわち有限個でないならば)、
級数
は発散する。
なぜなら、$\sqrt[n]{a_{n}} \geq 1$ である項は、
$a_{n} \geq 1$ であるので、
このような項が無数にあるなばら、
$a_{n}$ の極限が $0$ にはならないからである。すなわち、
になるからである
(
各項が0に収束しない ⇒ 級数が発散を参考)。
具体例 :
次の級数
は、$x \lt 1 $ のときに収束することを
コーシーの判定法によって確かめる。
解答例
と置くと、
であるので、
コーシーの判定法により、$x \lt 1$ であるならば、
級数
は収束する。
べき級数への適用
コーシー判定法をべき級数に適用すると、
その級数の収束半径が求まる。
これについては下記リンクを参考。