解説
逆行列を求めるには、
余因子行列を用いる方法と、
掃き出し法を用いる方法の二つがある。
ここでは、
前者の方法を用いる。
4次正方行列
の行列式が $0$ でないとする。
すなわち、
$$
\tag{1.1}
$$
であるとする (「
4行4列の行列式」を参考 )。
この場合、
$A$ には
逆行列が存在する。
$A$ の逆行列を $A^{-1}$ と表す。
このとき、
次の定理が知られている。
すなわち、
$A^{-1}$ は
$A$ の行列式の逆数 $\frac{1}{|A|}$ と余因子行列の積に等しい。
式で表すと、
$$
\tag{1.2}
$$
である。
ここで、
$\tilde{A}$ は $A$ の
余因子行列である。
$\tilde{A}$ は次のように定義される。
まず行列 $A$ から $i$ 行 と $j$ 列を取り除いた小行列を $M_{ij}$ とする。
すなわち
とする。
このとき $M_{ij}$ の行列式はそれぞれ
である
(
3行3列の行列式を参考)。
これらを用いて、
余因子行列
$\tilde{A}$ の各成分は
と定義される
(添え字の順序に注意)。
具体的に表すと、
である。
以上のように余因子行列が求まったので、
逆行列 $A^{-1}$ の各成分は
$(1.2)$ より、
である。ここで $|A|$ は
$(1.1)$
である。