剰余定理と因数定理

最終更新 2019年 5月16日
目次
- 多項式の商と余り
- 例:
- 剰余定理
- 例:
- 因数定理
- 例:
- 多項式の因数分解: (因数定理の応用)
多項式の商と余り
  $f(x)$ を $n$ 次多項式
n次多項式
とする。 このとき、任意の数 $c$ に対して
多項式の商と余り
を満たす $n-1$ 次多項式 $g(x)$ と数 $r$ が存在する。 $g(x)$ のことを、$f(x)$ を $x-c$ で割ったときのといい、 $r$ をその余りという。

証明
  $n$ 次多項式
$$ \tag{1} $$ の係数 $ a_{k} $ $(k=1,2,\cdots, n)$ によって、 係数 $ b_{k} $ $(k=1,2,\cdots, n-1)$ と数 $r$ を
$$ \tag{2} $$ と定義する。 $ b_{k} $ は $k=n-1$ の場合から順に $ a_{k} $ によって一意に定義されたことになる。 例えば、
というように $a_{k}$ によって定義されている。 その $ b_{k} $ を用いて、$n-1$ 次多項式 $g(x)$ を 多項式 $g(x)$ を
と定義すると、 $(1)$ と $(2)$ から
が成り立つ。 したがって、任意の $n$ 次多項式 $f(x)$ には 任意の数 $c$ に対して
を満たす $n-1$ 次多項式 $g(x)$ と数 $r$ が存在する。
  係数 $b_{i} $ は組立除法の係数に用いられる。

具体例: (商と余り)
  多項式
と表せる。 したがって、$f(x)$ を $x-2$ で割ったときのは $x^2-4x+3$ であり、 余りは $4$ である。
剰余定理
  多項式 $f(x)$ を $(x-c)$ で割った余りは $f(c)$ である。

証明
  $f(x)$ を $n$ 次多項式とする。 このとき、 任意の数 $c$ に対して
が成り立つ $n-1$ 次多項式 $g(x)$ と数 $r$ が存在する (多項式と余りを参考)。
  これより、
である。 すなわち、 $f(x)$ を $(x-c)$ で割ったときの余りは $f(c)$ である。

具体例: (剰余定理)
  多項式
であるので、 剰余定理により、$f(x)$ を $(x-2)$ で割った余りは $4$ である。
  実際、$f(x)$ は
と表せるので、 $(x-2)$ で割った余りが $4$ になる多項式である。
因数定理
  多項式 $f(x)$ が $(x-c)$ で割り切れる (余りが $0$ になる) ための必要十分条件は、 $f(c)=0$ である。

証明
  $f(x)$ を $n$ 次多項式とする。 このとき、 任意の数 $c$ に対して
$$ \tag{1} $$ を満たす $n-1$ 次多項式 $g(x)$ と数 $r$ が存在する。
  まず $f(c)=0$ と仮定すると、 $(1)$ から
が成り立つので、$r=0$ である。 したがって、$f(x)$ は $(x-c)$ で割り切れる。
  逆に、$f(x)$ が $(x-c)$ で割り切れると仮定する。 すなわち、
と表せると仮定する。 すると、ただちに
である。
  以上から、 $f(x)$ が $(x-c)$ で割り切れるための必要十分条件は $f(c)=0$ である。

具体例: (因数定理)
  多項式
であるので、 因数定理により、 $f(x)$ を $x-2$ で割り切れる (余りが $0$ ) 多項式である。
  実際 $f(x)$ は、
と表せるので、余りは $0$ である。
多項式の因数分解 : (因数定理の応用)
  任意の $n$ 次多項式は、 複素数 $\lambda_{i}$ $(i=0,1,\cdots,n)$ によって
と表せる ($C$ は定数)。

証明
  任意の $n$ 次方程式には必ず複素数の範囲に解が存在する (代数学の基本定理)。 その解を $\lambda_{1}$ とする。すなわち、
とする。これより因数定理によって、 $f(x)$ を
$$ \tag{1} $$ と表せる。 ここで $f_{1}(x)$ は $n-1$ 次多項式である。 代数学の基本定理によると、 $f_{1}(x)$ にも必ず複素数の範囲に解が存在するので、 その解を $\lambda_{2}$ とする。すなわち、
とする。 これより因数定理によって、 $f_{1}(x)$ を
と表せる。 ここで $f_{2}(x)$ は $n-2$ 次多項式である。 これを $(1)$ に代入すると、
と表せる。
  このような操作を繰り返すと、
という形になる。 ここで $f_{n-1}(x)$ は一次多項式である。 これを
と置くと、
と表される。
  この形を以って代数学の基本定理と呼ぶこともある。