3次元平面の求め方と性質

最終更新 2019年 7月 21日
平面の方程式
  任意の2点を結んだ直線が必ず1本のベクトル $\mathbf{n}$ と直交する集合を平面と呼ぶ。 平面上にある任意の点 $\mathbf{x}$ は、
平面の方程式
を満たす。ここで $(\cdot, \cdot)$ は内積を表す記号である。
  この式を平面の方程式といい、 $\mathbf{n}$ を平面の法線ベクトルと呼ぶ。 また、 $h$ を符号付き距離(signed distance)という。
平面の方程式の図

解説
  平面上の任意 $2$ 点の位置を表すベクトルを $\mathbf{x}_{1}$, $\mathbf{x}_{2}$ とすると、 それらを通る直線は、 $ \mathbf{x}_{1} - \mathbf{x}_{2} $ の方向を向く(上図) 。 この方向が $\mathbf{n}$ と直交するので、
が成立する (この式が $\mathbf{n}$ を定数倍しても成り立つことから分かるように、 $\mathbf{n}$ の大きさは何であってもよいので、便宜上 $\| \mathbf{n} \| = 1$ とする)。 これより、
である。 従って、 $\mathbf{x}_{1}$ と $\mathbf{x}_{2}$ は $\mathbf{n}$ との内積が同じ値になる。 この値を $h$ とすると、
$$ \tag{1} $$ である。
  ところで、 $\mathbf{x}_{1}$, $\mathbf{x}_{2}$ は平面上の任意の点の位置を表すベクトルであったので、 $(1)$ は、$\mathbf{x}_{1}$ と $\mathbf{x}_{2}$ だけでなく、 平面上の任意の点の位置 $\mathbf{x}$ に対して成立する。 すなわち、
$$ \tag{2} $$ が成立する。
  このように、平面上の任意の点 $\mathbf{x}$ は、 $\mathbf{n}$ と $h$ によって定義される条件 $(2)$ を満たす。 これを平面の方程式と呼ぶ。
  符号付き距離 $h$ の意味

続き
  原点から $\mathbf{n}$ の方向に伸びる直線を $L$ とする。 平面上の任意の点 $\mathbf{x}$ の直線 $L$ 上への射影点を $\mathbf{x}_{0}$ とすると、
$$ \tag{3} $$ である (ここで $\| \mathbf{n} \| = 1$ を用いた)。 これより、
であるので、 射影点 $\mathbf{x}_{0}$ は平面の方程式 $(2)$ を満たす。よって、 $\mathbf{x}_{0}$ は平面上の点である(下図)。
符号付き距離の意味の図
  また、 $(2)$ と $(3)$ から、射影 $\mathbf{x}_{0}$ は、
$$ \tag{4} $$ と表せる。 従って、 $\mathbf{x}_{0}$ は 原点から $\mathbf{n}$ の方向に $h$ だけ進んだ位置にある平面上の一点である。
  平面上の任意の点 $\mathbf{x}$ を
と表すと、 第一項と第二項は内積するベクトルになる。 実際 $(2)$ と $(4)$ から
が成立する。 これより、 $ \mathbf{x} $ のノルムの二乗は、
となるので、
が成立する。
  この関係は、平面上の点の中で $\mathbf{x}_{0}$ が 原点に最も近づく点であることを表している。 そこで、原点から平面までの距離 $H$ を、原点から $\mathbf{x}_{0}$ までの距離として定義すると、 $(4)$ から、
$$ \tag{5} $$ である。
  このように、 $h$ の絶対値は、原点から平面までの距離を表す。 一方で、$h$ そのものは内積で定義されていることから分かるように、 正の値になる場合と負の値になる場合、および $0$ になる場合の $3$ パターンがありうる。 以下では、それぞれのパターンについて考察する。


$h > 0$ の場合:
  $h$ が正である場合には、 $(5)$ から、
であり、 $h$ は原点と平面との距離に等しい。 $(4)$ より、 この場合には、 $\mathbf{x}_{0}$ は $\mathbf{n}$ 方向に位置する(下図)。 したがって、平面は原点から見て $\mathbf{n}$ 方向に置かれる。
符号付き距離の意味の図2
$h < 0$ の場合:
  $h$ が負である場合には、$(5)$ から、
であり、 $h$ は原点と平面との距離にマイナスを掛けたものに等しい。 $(4)$ より、 この場合には、 $\mathbf{x}_{0}$ は $\mathbf{n}$ の反対方向に位置する(下図)。 したがって、平面は原点から見て $-\mathbf{n}$ 方向に置かれる。
符号付き距離の意味の図03

$h = 0$ の場合:
  $h$ が $0$ である場合、$(4)$ から、
であるので、 $\mathbf{x}_{0}$ は原点に位置する。 $(5)$ から、この場合には、 .
であるので、 原点と平面との距離は $0$ であり、平面は原点を通過する(下図)。
符号付き距離の意味の図04

  以上のように $h$ は、法線と射影点 $\mathbf{x}_{0}$ の位置が同じ向きである場合には、 原点と平面との距離 $H$ を表す正の値になる。 一方、反対向きに場合には、距離 $H$ にマイナスの符号を付けた負の値になる。 このような意味で、$h$ を 符号付き距離と呼ぶ。



3点を通る平面
  3点 $A, B, C$ を通る平面の方程式は、
3点を通る平面の公式
である。 ここで、 $\mathbf{a}$, $\mathbf{b}$, $\mathbf{c}$ は、3点 $A$, $B$, $C$ の位置ベクトルであり、 $\mathbf{x}$ は平面上の任意の点である (例題)。

証明
  3点 $A, B, C$ を通る平面の方程式
$$ \tag{1} $$ と置く。 ここで、$\mathbf{n}$ は法線ベクトルであり、 $h$ は符号付き距離である。
  点 $A, B, C$ の各位置ベクトルを $\mathbf{a}$, $\mathbf{b}$, $\mathbf{c}$ とすると、 これらが $(1)$ の平面上にあることは、
$$ \tag{2} $$ と表される。 これより、法線ベクトル $\mathbf{n}$ は、
$$ \tag{3} $$ を満たす。
3点を通る平面の図

  $(3)$ は、 $\mathbf{n}$ が $\mathbf{b}-\mathbf{a}$ と $ \mathbf{c}-\mathbf{a}$ の両方に直交するベクトルであることを表している(図)。 従って、 $\mathbf{n}$ は $\mathbf{b}-\mathbf{a}$ と $ \mathbf{c}-\mathbf{a}$ の外積の方向を向く (外積の直交性を参考)。 したがって、
$$ \tag{4} $$ と表される。 ここで、$C$ はベクトルの大きさを決める $0$ でない定数である。
  $(2)$ と $(4)$ から、符号付き距離 $h$ は、
$$ \tag{5} $$ と表される。
  $(4)$ と $(5)$ によって、平面の方程式 $(1)$ は、 .
と表される。

一点と直線を通る平面
  位置ベクトルが $\mathbf{x}_{0} $ である点 $X_{0}$ を通り、 方向ベクトルが $\mathbf{m}$ の直線
と、 位置ベクトルが $\mathbf{u}$ である点 $U$ を通る平面 $P$ の方程式は、
と表される。

証明
  位置ベクトルが $\mathbf{x}_{0} $ である点 $X_{0}$ を通り、 方向ベクトルが $\mathbf{m}$ の直線
$$ \tag{1} $$ と、 位置ベクトルが $\mathbf{u}$ である点 $U$ を通る平面 $P$ の方程式を求める。
一点と直線を通る平面の図
  直線 $(1)$ の $t$ は、 直線上の点の位置を定義するパラメータである。 そこで、 直線 $(1)$ 上にある $X_{0}$ 以外の点を $X_{1}$ とすると、 この点の位置ベクトルは、
と表される。 ここで、 $ t_{1} $ は点 $X_{1}$ の位置を定義するパラメータであり、 $X_{1}$ と $X_{0}$ が異なる位置の点であることから、
$$ \tag{2} $$ である。 また、 点 $X_{0}$ と 点 $X_{1}$ を結ぶベクトルは、
$$ \tag{3} $$ である。
  一方、 点 $U$ と点 $X_{0}$ を結ぶベクトルは、
$$ \tag{4} $$ である (下図)。
一点と直線を通る平面の図01

  ここで、 平面 $P$ 上の任意の点を $\mathbf{x}$ と表し、 $\mathbf{x}$ の満たす方程式、 すなわち、 平面 $P$ の方程式
$$ \tag{5} $$ と置く。 $\mathbf{n}$ は法線ベクトルであり、 $h$ は符号付き距離である。
  法線ベクトル $\mathbf{n}$ は平面上の二点を結ぶベクトルと直交するベクトルであるので、 $\mathbf{n}$ は $(3)$ と直交し、 $(4)$ とも直交する。 したがって、 $\mathbf{n}$ は $(3)$ と $(4)$ の外積の方向を向くベクトルである (外積の直交性を参考)。 このことから、 $\mathbf{n}$ を
と表せる。 これを用いると、 平面の方程式 $(5)$ は、
$$ \tag{6} $$ と表される。
  点 $U$ が平面 $P$ 上の点であることから、 位置ベクトル $\mathbf{u}$ は、
を満たす。 これを整理すると、 内積の性質スカラー三重積の循環性により、
と表せるので、 $(6)$ から、
を得る。 最後に $(2)$ から、
である。

例題: (三角形を含む平面)
  以下の三点
を頂点に持つ三角形を含む平面を求めよ。

解答例
  3点を通る平面の公式を用いる。 外積の定義に従って計算すると、
であるので、
である。 3点 $\mathbf{a}$、$\mathbf{b}$、$\mathbf{c}$ を通る平面上の任意の点を
と表すと、 公式より、この点は、
を満たす。 最後の式が 3点 $\mathbf{a}$、$\mathbf{b}$、$\mathbf{c}$ を通る平面の方程式である。

垂直二等分面とその性質
  位置ベクトルがそれぞれ $\mathbf{r}_{A}$ と $\mathbf{r}_{B}$ の点 $A,B$ の垂直二等分面の方程式は、
垂直二等分平面の求め方00
と表される。 ここで $\mathbf{r}$ は、 平面上の任意の点である。
点群にフィットする平面
  点群 $\{ \mathbf{u}_{1}, \mathbf{u}_{2}, \cdots, \mathbf{u}_{m} \}$ に最もフィットする平面は、 法線ベクトルが 行列 $$ M=\sum_{i=1}^{m} (\mathbf{u}_{i}- \overline{\mathbf{u}}) (\mathbf{u}_{i}- \overline{\mathbf{u}})^{T} $$ の最小固有値を持つ固有ベクトルの方向を向き、 符号付き距離が、その法線ベクトルと点群の重心 $\overline{\mathbf{u}}$ との内積 $$ h = (\mathbf{n}, \overline{\mathbf{u}}) $$ になる平面である。
2平面の交線
  2つの平行でない平面 $P_{1}$ と $P_{2}$ の平面の方程式がそれぞれ \begin{eqnarray} (\mathbf{n}_{1}, \hspace{1mm} \mathbf{x}) &=& h_{1} \\ (\mathbf{n}_{2}, \hspace{1mm} \mathbf{x}) &=& h_{2} \end{eqnarray} であるとき、$P_{1}$ と $P_{2}$ の交線は、 $$ \frac{h_{1} - h_{2} (\mathbf{n}_{1}, \mathbf{n}_{2})}{1- (\mathbf{n}_{1}, \mathbf{n}_{2})^2} \mathbf{n}_{1} + \frac{-h_{1}(\mathbf{n}_{1}, \mathbf{n}_{2}) + h_{2} }{1- (\mathbf{n}_{1}, \mathbf{n}_{2})^2} \mathbf{n}_{2} + t \hspace{1mm}(\mathbf{n}_{1} \times \mathbf{n}_{2}) $$ と表される。 ここで $t$ はパラメータである。
平面と直線の交点
  平面 $$ (\mathbf{n}, \mathbf{x}) = h $$ と直線 $$ \mathbf{x}_{0} + t \mathbf{m} $$ の交点は、 $$ \mathbf{x}_{0} + \frac{h - (\mathbf{n}, \hspace{0.5mm}\mathbf{x}_{0})}{(\mathbf{n}, \hspace{0.5mm}\mathbf{m})} \mathbf{m} $$ である。 ここで、$\mathbf{n}$ と $h$ は、それぞれ平面の法線ベクトルと符号付き距離であり、 $\mathbf{x}_{0}$ と $\mathbf{m}$ は、それぞれ直線上の一点と方向ベクトルである。 また、$t$ は直線のパラメータである。
点と平面の距離
  法線ベクトルが $\mathbf{n}$ の平面 $$ (\mathbf{n}, \mathbf{x}) = h $$ と、点 $\mathbf{x}$ との間の距離 $d$ は、 $$ d = \left| (\mathbf{n}, \mathbf{x}) - h \right| $$ である。
平面上への投影点
  3次元空間内の座標 $\mathbf{u}$ の平面

平面上への射影00

上への投影点(垂線の足)の位置 $\mathbf{u}_{P}$ は、

平面上への射影01

である。 ここで、 $\mathbf{n}$ は、平面の法線ベクトルであり、 規格化されている($\| \mathbf{n} \| = 1$)。 また、 $h$ は、符号付き距離である。