対数関数を解説 ~ 性質/公式 ~
対数関数の定義
指数関数
は、
$y$ に関する
単調増加関数であるので、
逆関数が存在する。
これを
と表し、
底を $a$ とする
対数関数と呼ぶ。
例
-
$x=2^{y}$ の逆関数を $y= \log_{2} x$ と表す。
-
$x=10^{y}$ の逆関数を $y= \log_{10} x$ と表す。
-
$x=e^{y}$ の逆関数を $y= \log_{e} x$ と表す。$e$ を省略して $y= \log x$ と表すことが多い。
積の対数関数
積 $xy$ の対数関数は、
$x$ の対数関数と $y$ の対数関数の和になる。
すなわち、
が成立する。
証明
底を $a$ とする対数関数をそれぞれ
と置くと、
対数関数の定義から、
であり、
が成り立つ。
すると、
再び
対数関数の定義の定義から $ u_x + u_y$ は、
と表される。
ゆえに、
が成立する。
べき関数の対数関数
べき関数 $x^{p}$ の対数関数は、
べきと対数関数の積になる。
すなわち、
が成立する。
証明
底を $a$ とする対数関数 を
と置くと、
対数関数の定義から、
である。
よって、
が成り立つ。
すると、
対数関数の定義から、
$pu$ が
と表されるので、
が成り立つ。
分数の対数関数
分数 $x/y$ の対数関数は、
$x$ の対数関数と $y$ の対数関数の差に等しい。
すなわち、
が成立する。
対数関数の底変換
底が $a$ の対数関数 $\log_{a} x$ は、
底が $b$ の対数関数 $\log_{b} x$ によって、
と表される。
証明
はじめに
と置く。
対数関数の定義から
である。
これより、
である。
対数関数の性質から、
左辺を
と表せるので、
が成立する。
$y = \log_{a} x$ であったので、
この式から、
を得る。
対数関数の微分
底が $e$ の対数関数 $\log {x}$ の微分は、
である $(x > 0)$。
証明
$x = e^{y}$ の逆関数が $y= \log x$ であるので、
逆関数の微分によって
である。
対数関数 log の積分
対数関数 log の積分は、
である。
証明
対数関数の微分が
であることから、
$x \log x$ の微分は
である。
これより、
を得る。
対数関数は単調増加関数
対数関数は単調増加関数である。
すなわち、
とするとき、
$h>0$ であるならば
が成り立つ。
証明
$f(x) = \log_{a} x$ $(x>0)$ とすると、
分数の対数関数の性質から
であり、
$h>0$ であるならば、
であるので、
が成り立つ ($b > 1$ ならば $\log_{a} b > 0$ を用いた)。
よって、
が成り立つ。
図は、底が $e$ の対数関数(赤線)と、
底が $10$ の対数関数(青線)である。
単調増加している様子が見て取れる。
$\log f(x)$ が最大になるとき、$f(x)$ も最大になる
正の関数 $f(x)$ の対数
$\log f(x)$ が $x=x_{m}$ で最大値をとるならば、
もとの関数 $f(x)$ もまた $x=x_{m}$ で最大になる。
また、その逆も成立する。
すなわち、
$f(x)>0$ であるとき、
が成立する。
証明
はじめに、
\begin{eqnarray}
&&
\log f(x) \hspace{1mm} が \hspace{1mm} x=x_{m} \hspace{1mm} で最大値
\\
&&
\Longrightarrow
\hspace{5mm}
f(x) \hspace{1mm} が \hspace{1mm} x=x_{m} \hspace{1mm} で最大値
\end{eqnarray}
を証明する。
正の関数 $f(x)$ の対数関数 $\log f(x)$ が $x=x_{m}$ で最大になると仮定する。
すなわち、任意の $x$ に対して、
が成立すると仮定する。
分数の対数関数の性質を用いると、
が成り立つことが分かるので、
$\log$ が単調増加関数であることから、
である。
これと $f(x) > 0$ であることから、
を得る。
これは関数 $f(x)$ が $x=x_{m}$ で最大になることを表している。
続いて
\begin{eqnarray}
&&
\log f(x) \hspace{1mm} が \hspace{1mm} x=x_{m} \hspace{1mm} で最大値
\\
&&
\Longleftarrow
\hspace{5mm}
f(x) \hspace{1mm} が \hspace{1mm} x=x_{m} \hspace{1mm} で最大値
\end{eqnarray}
を証明する。
そこで、任意の正の $x$ に対して、
が成立すると仮定する。
$f(x) > 0$ であるので、
が成り立ち、
$\log$ が単調増加関数であることから、
である。この式は
分数の対数関数の性質を用いると、
と表せる。
これは
$\log f(x)$ が $x=x_{m}$ で最大になることを表している。