Bolzano-Weierstrass の定理

最終更新 2018年 12月23日
  任意の有界な数列には収束する部分列が存在する。
  これをBolzano–Weierstrassの定理(ボルツァーノ・ワイエルシュトラスの定理)という。
証明:
  任意の有界な数列を $\{ a_{n} \}$ と表し、 $a_{n}$ の全体から成る集合を $A_{1}$ と表す。 すなわち、
$A_{1}$ は有界であるので、 上限と下限が存在する (補足参考)。 それらをそれぞれ $I_{1}$、$S_{1}$ と表す。
$I_{1}$ は $A_{1}$ の下限であるから、 $\alpha$ を任意の正の数とすると、 $A_{1}$ の要素で $I_{1} + \alpha$ よりも小さい要素が必ずある。
その中の一つを $a_{n^{(1)}}$ とすると、 これは
$$ \tag{1} $$ を満たす。 (もしこのような $a_{n^{(1)}}$ 存在しないとすると、 $I_{1} + \alpha$ が $A_{1}$ の下限になってしまい、 $I_{1}$ が $A_{1}$ の下限であることに矛盾する)。
  続いて、$A_{1}$ の中の要素で $n^{(1)}$ よりも大きな添え字を持つものだけを取り出し、 その集合を $A_{2}$ とする。 すなわち、
とする。 また、$A_{2}$ の下限と上限をそれぞれ $I_{2}$、$S_{2}$ と表す。
$A_{2}$ は $A_{1}$ の部分集合であるから、 $A_{2}$ の下限は $A_{1}$ の下限以上の値になる。 すなわち、
$$ \tag{2} $$ が成り立つ。 また、 $I_{2}$ は $A_{2}$ の下限であるから、 $A_{2}$ の要素で $I_{2} + \frac{\alpha}{2}$ よりも小さい要素が必ずある。
その中の一つを $a_{n^{(2)}}$ とすると、 これは
$$ \tag{3} $$ を満たす。
  続いて、$A_{2}$ の中の要素で $n^{(2)}$ よりも大きな添え字を持つものだけを取り出し、 その集合を $A_{3}$ とする。 すなわち、
とする。 また、$A_{3}$ の下限と上限をそれぞれ $I_{3}$、$S_{3}$ と表す。
$A_{3}$ は $A_{2}$ の部分集合であるから、 $A_{3}$ の下限は $A_{2}$ の下限以上の値になる。 よって、
$$ \tag{4} $$ が成り立つ。 また、 $I_{3}$ は $A_{3}$ の下限であるから、 $A_{3}$ の要素で $I_{3} + \frac{\alpha}{3}$ よりも小さい要素が必ずある。
その中の一つを $a_{n^{(3)}}$ とすると、 これは
$$ \tag{5} $$ を満たす。
  以上のような考察を繰り返して、数列 $\{ I_{k} \}$ を定義すると、 $(2)$ と $(4)$ から分かるように $I_{k}$ は
を満たすので、 単調増加数列である。
  また、数列 $\{ I_{k} \}$ は集合 $A_{k}$ の下限であり、 集合 $A_{k}$ は $A_{1}$ の部分集合であるので、 $I_{k}$ は $A_{1}$ の上限 $S_{1}$ 以下の値である。すなわち、
が成り立つ ($\{ I_{k} \}$ は有界な数列)。
  以上から、 数列 $\{ I_{k} \}$ は有界な単調増加数列である。 有界な単調増加数列は収束するので (実数の連続性の公理   補足参考)、 ${I_{k}}$ は収束する。 そこで、$I_{k}$ の極限値を $c$ とすると、
$$ \tag{6} $$ である。
  一方、 $(1)$ $(3)$ $(5)$ の議論を繰り返して行くと、 $k=1,2,\cdots$ に対して
$$ \tag{7} $$ が成り立つ。 ここで、数列 $\{ J_{k} \}$ と $\{ b_{k} \}$ を
と定義すると、 $(7)$ は
$$ \tag{8} $$ と表され、 $(6)$ により、
$$ \tag{9} $$ が成り立つ。 すると、 $(6)(8)(9)$ から はさみうちの定理により、
が成り立つ。したがって数列 $\{ b_{k} \}$ は収束する。 数列 $\{ b_{k} \}$ は 数列 $\{ a_{n} \}$ の部分列であるから、 次のことが示された。すなわち、 任意の有界な数列 $\{ a_{n} \}$ には、収束する部分列が存在する。
補足:
  「有界な集合には上限が存在する。」 これを上限定理という。 上限定理は実数の連続性を表す公理であるので、 他の何かから証明されるものではない。
  実数の連続性は上限定理の他にも 幾つかの表し方がある。 例えば 「有界な単調増加数列は収束する。」 というのもその一つである。
  これらは互いに同値であるので、 どれを採用してもよい。