証明
任意の正方行列は
三角化可能であるので、
$A$ には
を満たす
正則行列 $P$ と、
対角成分が $A$ の固有値に等しい
上三角行列 $\Lambda$ が存在する。
$\Lambda$ を
と表す。ここで $\lambda_{1}, \lambda_{2},\cdots, \lambda_{n}$ は $A$ の固有値である。
また $f(A)$ を
と表す。これらと
補助定理から
$$
\tag{1}
$$
が成り立つ。ここで5個目の等号では
上三角行列の積の性質を用いた。
$\lambda_{f}$ を $f(A)$ の固有値とすると、
$\lambda_{f}$ は固有方程式
$$
\tag{2}
$$
の解である。ここで $I$ は単位行列である。
$P$ は正則行列であるので、
であり、
$|I|=1$ であることから、
積の行列式の性質により、
が成り立つことを用いると、
積の行列式の性質から、
$$
\tag{3}
$$
が成り立つ。
$(1)$ から
であるので、
上三角行列の行列式の性質により、
である。
これより、
$(3)$ は
と表されるので、
である。すなわち、$A$ の固有値が $\lambda_{i}$ であるとき、
$f(A)$ の固有値は $f(\lambda_{i})$ である。
解答例
$A$ の固有値 $\lambda$ は、固有方程式
の解であるから、
である。
したがって、
フロベニウスの定理から
の固有値は $f(+1)$ と $f(-1)$ である。
具体的には
である。
確認
$f(A)$ の固有値を固有方程式から求めてみる。
であるので(
行列多項式の計算例)、
固有方程式は、
である。
これより、
であるので、
フロベニウスの定理から求めた結果と一致する。