ベクトル間の距離

  2 つのベクトル $\mathbf{a}$ と $\mathbf{b}$ の間の距離 $d (\mathbf{a},\mathbf{b})$ を、

ベクトル間の距離00

と定義する。
  このとき、任意のベクトル $\mathbf{a}$, $\mathbf{b}$, $\mathbf{c}$ に対して次の 3 つの関係が満たされる。

(1) 距離はゼロ以上

ベクトル間の距離01

(2) 距離がゼロなら等しい $$ d (\mathbf{a},\mathbf{b}) = 0 \hspace{2mm} \Longleftrightarrow \hspace{2mm} \mathbf{a} = \mathbf{b} $$
(3) 距離の三角不等式 $$ d (\mathbf{a},\mathbf{b}) \hspace{1mm} \leq \hspace{1mm} d (\mathbf{a},\mathbf{c}) + d (\mathbf{c},\mathbf{b}) $$
これらの3つの関係を距離の公理と呼ぶ。
最終更新 2015年 4月11日


 証明

(1) の証明
  定義 $(*)$ より距離 $d (\mathbf{a},\mathbf{b})$ はノルム $\|\mathbf{a} - \mathbf{b}\|$ である。 ノルムはゼロ以上であるので、距離もまたゼロ以上である。


(2) の証明
  定義 $(*)$ により $d (\mathbf{a},\mathbf{b}) = 0$ であるならば、 $$ \|\mathbf{a} - \mathbf{b}\| = 0 $$ である。ノルムがゼロに等しいのは、ベクトルがゼロベクトルのときに限るので、 $$ \mathbf{a} - \mathbf{b} = 0 $$ である。これより、 $$ \mathbf{a} = \mathbf{b} $$ が成立する。
  逆に $\mathbf{a} - \mathbf{b} = 0$ ならば定義 $(*)$ により $d (\mathbf{a},\mathbf{b}) = 0$ である。 以上より $$ d (\mathbf{a},\mathbf{b}) = 0 \hspace{2mm} \Longleftrightarrow \hspace{2mm} \mathbf{a} = \mathbf{b} $$ が成立する。


(3) の証明
  定義 $(*)$ により $$ d (\mathbf{a},\mathbf{b}) = \|\mathbf{a} - \mathbf{b}\| $$ であるが、右辺を $$ \|\mathbf{a} - \mathbf{b}\| = \|(\mathbf{a} - \mathbf{c}) + (\mathbf{c} - \mathbf{b}) \| $$ と表し、 ベクトル $\mathbf{a} - \mathbf{c}$ と $\mathbf{c} - \mathbf{b}$ に対して 三角不等式 を適用すると、

$$ \|(\mathbf{a} - \mathbf{c}) + (\mathbf{c} - \mathbf{b}) \| \leq \| \mathbf{a} - \mathbf{c} \| + \| \mathbf{c} - \mathbf{b} \| $$ が成立する。これより、 $$ \|\mathbf{a} - \mathbf{b}\| \leq \| \mathbf{a} - \mathbf{c} \| + \| \mathbf{c} - \mathbf{b} \| $$ を得る。
  距離の定義 $(*)$ により、この式は、距離の三角不等式そのものである。すなわち、

$$ d (\mathbf{a},\mathbf{b}) \hspace{1mm} \leq \hspace{1mm} d (\mathbf{a},\mathbf{c}) + d (\mathbf{c},\mathbf{b}) $$

  例: ユークリッド距離

  $n$ 次元実ベクトルのノルム $\| \mathbf{a} \|$ を成分によって、 $$ \| \mathbf{a} \| = \sqrt{a_{1}^{2} + a_{2}^{2} + \cdots + a_{n}^2} $$ と定義すると、距離 $d (\mathbf{a},\mathbf{b}) $ は、 $$ d (\mathbf{a},\mathbf{b}) = \| \mathbf{a} - \mathbf{b} \| = \sqrt{ (a_{1}-b_{1})^{2} + (a_{2}-b_{2})^{2} + \cdots + (a_{n}-b_{n})^2} $$ と表される。
  このとき、$d (\mathbf{a},\mathbf{b}) $ は上の 3 つの関係 (1),(2),(3) を満たす。







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