線形補間と双線形補間 ~解説と具体例~
線形補間
関数 $f(x)$ が
$x=x_{1}$ と $x=x_{2}$ ($x_{1} \lt x_{2}$)
の二点上では与えられているが、
二点の間の区間 $( x_{1}, \hspace{1mm} x_{2})$
では与えられていない場合に、
その区間での $f$ の値を $f(x_{1})$ と
$f(x_{2})$ によって、
と与えることを
線形補間という。
解説
関数 $f(x)$ が
$x=x_{1}$ と $x=x_{2}$ ($x_{1} \lt x_{2}$)
の二点上では与えられているが、
区間 $( x_{1}, \hspace{1mm} x_{2})$
では与えられていないとする (下図) 。
このとき、その区間内の $x$、すなわち、
を満たす $x$ における $f$ の値が欲しいが、
そこでは真の値が与えられていないので、
仕方なく両端の点
を結ぶ直線上の点として $f(x)$ を与えることを考える。
二点を結ぶ直線の方程式は、
$$
\tag{1}
$$
である。ここで補間パラメータ $t$ を
と定義する。
$t$ は 区間 $(x_{1}, x_{2})$ の範囲において
$t \in (0,1)$ であり、
$x$ の区間内での割合を表す。
これを用いると、
$(1)$ は
と表される。
書き換えると、
が得られる(下図)。
このように、ある区間で関数 $f$ の値が与えられていないときに、
値が与えられている二点を結ぶ直線上の点として $f$ の値を与えることを
線形補間という。
線形補間は理工学の観測データを解析する際にしばしば用いられる最も単純な補間方法である。
線形補間の例題
関数 $f(x)$ の値が整数の上でのみ与えらえれている。
特に $x=13$ と $x=14$ のときには、
であるという。
このとき、
$x=13.4$ のときの $f(x)$ の値を線形補間によって与えよ。
解答
上記の
線形補間の解説と照らし合わせて考えると、
であり、これらより、$t$ が
と求められるので、
$x=13.4$ における線形補間値は、
である。
以上から関数 $f(x)$ の
$x=13.4$ のときの値を線形補間によって与えると、
である。
双線形補間
関数 $f(x,y)$ が四角形を成す四つの点
の上では与えられているが、
四角形で囲まれた領域
では与えられていないとする
(下図)。
このとき、その領域内での $f$ の値を四点上での関数の値
を用いて、
と与えることを
双線形補間という。
双線形補間は
線形補間を二次元拡張したものである。
解説
四点のうちの二点
を結ぶ線分は $x$ 軸に平行である。
そこで、$x$ 座標についての
線形補間を用いて二点間の線分上での $f$ の値を与えることを考える。
二点のそれぞれの上での $f$ の値は
である。また、線分上にある点は
$$
\tag{1}
$$
とパラメータ $t$ によって表される。
したがって、線分上での $f$ の値を
線形補間によって与えた結果を
$\overline{f} (t,1)$ とすると、
$$
\tag{2}
$$
である (下図) 。
同じように、
四点のうちの二点
を結ぶ線分上の点は
$$
\tag{3}
$$
と表され、
そこでの
$f$ の値を
線形補間を用いて与えた結果を
$
\overline{f} (t,2)
$
とすると、
$$
\tag{4}
$$
である (下図) 。
$(1)$ と $(3)$ の二点
を結ぶ線分は $y$ 軸に平行である。
そこで、
$y$ 座標についての
線形補間を用いて二点間の線分上での $f$ の値を与えることを考える。
二点のそれぞれの上での $f$ の値は
$(2)$ と $(4)$ である。
すなわち、
である。
また、二点間の線分上にある点は、
と表される。
したがって、
この点での
$f$ の値を
線形補間を用いて与えた結果を
$ \overline{f} (t,s) $ とすると、
を得る。
このように、双線形補間は
$x$ 軸に沿った線形補間を行い、
その結果 ($(2)$ と $(4)$) を用いて、
$y$ 軸に沿った線形補間を行うと得られる。
下の図は双線形補間によって与えられた $f$ の値をプロットした一例である。
境界上の各辺は直線を成し、内部では平面を捩った形が形成される。
双線形補間の例題
下図は四つの画素から成る画像である。
各画素の中心には輝度値
(明るさの数値)が割り当てられている。
一方、画素の中心以外の位置には輝度値が割り当てられていないとする。
このとき、
上図の黄色い点の位置の輝度値を
双線形補間によって与えよ。
解答
はじめに、議論の便宜上
と置く。上図から分かるように、
四つの画素の中心の位置は
であり、
図の黄色い点の位置は、
である。
上記の
線形補間の議論を参考にすると分かるように、
黄色い点の位置の補間パラメータ $t$ と $s$ を求めると、
である。
また、
それぞれの中心での輝度値は、
である。
以上から、黄色い点の位置の輝度値は、
双線形補間の公式
により、
と与えられる。