証明
級数
$$
\tag{1}
$$
が絶対収束すると仮定し、
この級数が収束することを示す。
そこで、
数列 $b_{n}$ を $a_{n}$ が $0$ 以上の時には $a_{n}$ に等しく、
$0$ 未満のときには $0$ に等しい数列として定義する。
また、
数列 $c_{n}$ を $a_{n}$ が $0$ 以上の時には $0$ に等しく、
$0$ 未満のときには $-a_{n}$ に等しい数列と定義する。すなわち、
$$
\tag{2}
$$
とする。
これより、
$$
\tag{3}
$$
と
$$
\tag{4}
$$
が成り立つ。
ここで、それぞれの数列の部分和を
と定義すると、$(3)$ から
$$
\tag{5}
$$
が成り立つ。
また、$a_{n}$ の絶対値の部分和を
とすると、
$(4)$ から
が成り立つ。
これより、
であるが、$(1)$ が絶対収束することから、$\sum_{n=1}^{\infty} |a_{n}|$ が収束するので、
その極限値を $ \alpha $ とすると、
である。すなわち、
数列 $B_{m}$ と $C_{m}$ は上に有界な数列である。
また、$(2)$ より
であることから、$B_{m}$ と $C_{m}$ は単調増加数列である。
以上より、$B_{m}$ と $C_{m}$ は上に有界な単調増加数列であるので収束する。
そこで、それぞれの極限値を $\beta$ と $\gamma$ とする。
すなわち、
とすると、
$(5)$ から
を得る。右辺の $\beta-\gamma$ は有限の値であるので、
この式は $\sum_{n=1}^{\infty} a_{n}$ が収束することを表している。
以上より、絶対収束する級数は収束する。
解説
級数
$$
\tag{1}
$$
は交代調和級数と呼ばれ、収束することが知られている (証明は
交代級数を参考)。
一方で、
$(1)$ の各項を絶対値にした級数
は、
調和級数と呼ばれ、発散することが知られている (証明は
積分判定法を参考)。
したがって、
$(1)$ は条件収束する級数である。