組み立て除法とは?

最終更新 2018年 7月12日
組み立て除法とは? (一般論)
  多項式に対する組み立て除法 (synthetic division) とは、 $n$ 次多項式 $f(x)$ を $x-a$ で割ったときの商 $q(x)$ と余り $r$ を求める方法である。 すなわち、
組み立て除法
を満たす $n-1$ 次方程式 $q(x)$ と定数 $r$ を導出する方法である。

証明
  $n$ 次式 $f(x)$ が
であるとする。 また、 $n$ 次多項式 $f(x)$ を $x-a$ で割った商 を $q(x)$、余りを $r$ とする。 すなわち、
とする。 $q(x)$ は $n-1$ 次式であるので、
と置くと、
である。 この式が任意の $x$ について成り立つので、 $(1)$ の左辺の各係数と右辺の各係数は等しい。 すなわち、
が成り立つ。 第 $1$ 式によって $q_{n-1}$ が求まる。 $q_{n-1}$ が求まったことにより、 第 $2$ 式
によって、$q_{n-2}$ が求まる。これを繰り返して行くと、 第 $n$ 式
によって、$q_{0}$ が求まる。 $q_{0}$ が求まったことによって、最後の第 $n+1$ 式
によって、余り $r$ が求まる。
  各係数が求まったので、$q(x)$ を $f_{i}$ と $a$ の関数として表せる。 このような一連の係数比較によって、商 $q(x)$ と余り $r$ を求める方法を組立除法という。

組み立て除法の例題
  多項式
組み立て除法の例
を $x-2$ で割ったときの商と余りを組み立て除法によって求めよ。

証明
  組み立て除法の一般論と同様に考える。
を $x-2$ で割ったときの商を $q(x)$ とし、余りを $r$ とする。すなわち、
とする。 $q(x)$ を
と置き、 右辺を展開すると、
である。
  $(1)$ が任意の $x$ について成立することから、両辺の各項の係数は等しい。ゆえに
が成立する。
  この式を一番上の式から順に解くことにより、
が得られる。 これより、商 $q(x)$ は
であり、余りは $ r = 13 $ である。

補足: 組み立て除法の解の一意性
  組立除法によって、商と余りは一意に求まる。

証明
上の一般論で導いた関係
は、 ベクトルと行列によって
と表すことが出来る。 左辺のベクトルを $\mathbf{f}$、右辺の行列を $A$、右辺のベクトルを $\mathbf{q}$ として、
$$ \tag{1} $$ と表すと、 行列 $A$ は下三角行列であるので、 行列式は対角成分の積に等しい。したがって
である。
  $(1)$ をベクトル $\mathbf{f}$ と行列 $A$ が与えられたときの $\mathbf{q}$ を求める連立一次方程式と見なすと、 $A$ の行列式が $0$ ではないことから、 $A$ には逆行列が存在し、 $(1)$ にはただ一つの解
が存在する。
  $\mathbf{q}$ が一意に求まることは、 商 $q(x)$ と 余り $r$ が一意に求まることを表している。 ゆえに、組立除法によって、商と余りは一意に求まる。