多項式の組み立て除法

  多項式に対する組み立て除法 (synthetic division) とは、 $n$ 次多項式 $f(x)$ を $x-a$ で割ったときの商 $q(x)$ と余り $r$ を求める方法である。すなわち、

組み立て除法00

を満たす $n-1$ 次方程式 $q(x)$ と定数 $r$ を導出する方法である。
最終更新 2015 年 9月 14日


  詳細

  $n$ 次多項式 $f(x)$ を $x-a$ で割った商 を $q(x)$、余りを $r$ とする。 すなわち、

$$ f(x) = (x-a)q(x) + r \tag{1} $$ とする。$f(x)$ を

組み立て除法01

と表し、$q(x)$ を

組み立て除法02

と表す。
  このとき、右辺は

\begin{eqnarray} &&(x-a)q(x) + r \\ && = (x-a)(q_{n-1} x^{n-1} + q_{n-2} x^{n-2} + \cdots + q_{1}x + q_{0}) +r \\ \hspace{1mm} \\ &&=q_{n-1} x^{n} + (q_{n-2} - a q_{n-1}) x^{n-1} + (q_{n-3} - a q_{n-2}) x^{n-2} + \cdots + (q_{0} - a q_{1}) x + r - a q_{0} \end{eqnarray}
と表せる。
  $(1)$ が任意の $x$ について成立することから、$(1)$ の左辺の各係数と右辺の各係数は等しい。すなわち、 \begin{eqnarray} f_{n} &=& q_{n-1} \\ f_{n-1} &=& q_{n-2} - a q_{n-1} \\ f_{n-2} &=& q_{n-3} - a q_{n-2} \\ &\vdots& \\ f_{1} &=& q_{0} - a q_{1} \\ f_{0} &=& r - a q_{0}\tag{2} \end{eqnarray} が成立する。
  第 1 式により、$q_{n-1}$ が求まる($f_{n}$に等しい)。 $q_{n-1}$ が求まったことにより、 第 2 式

$$ f_{n-1} = q_{n-2} - a q_{n-1} $$
によって、$q_{n-2}$ が求まる。これを繰り返して行くと、 第 $n$ 式

$$ f_{1} = q_{0} - a q_{1} $$
によって、$q_{0}$ が求まる。 $q_{0}$ が求まったことによって、最後の第 $n+1$ 式

$$ f_{0} = r - a q_{0} $$ によって、余り $r$ が求まる。
  各係数が求まったので、$q(x)$ を $f_{i}$ と $a$ の関数として表せる。 このような一連の係数比較によって、商 $q(x)$ と余り $r$ を求める方法を組立除法という。

  補足:  組み立て除法の解の一意性について

  $(2)$ を行列で表すと、

組み立て除法09

である。左辺のベクトルを $\mathbf{f}$、右辺の行列を $A$、右辺のベクトルを $\mathbf{q}$ として、 上の式を $$ \mathbf{f} = A \mathbf{q} \tag{3} $$ と表す。
  行列 $A$ は、下三角行列であるので、$A$ の行列式は、 対角成分の積に等しい。これより $$ |A| = 1 $$ である。
  $(3)$ をベクトル $\mathbf{f}$ と行列 $A$ が与えられたときに $\mathbf{q}$ を求める連立一次方程式と見なすと、 $A$ の行列式が $0$ ではないことから、$A$ には逆行列が存在し、 $(3)$ には、ただ一つの解 $$ \mathbf{q}=A^{-1}\mathbf{f} $$ が存在することが示される。
  定義より $\mathbf{q}$ は、商 $q(x)$ の係数と余り $r$ を成分とするベクトルであるので、 $\mathbf{q}$ が一意に求まることは、商 $q(x)$ と 余り $r$ が一意に求まることを表している。 ゆえに、組立除法によって、商と余りは一意に求まる。




組み立て除法の例題





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