独立な確率変数の積の期待値

  $X$ と $Y$ が独立な確率変数であるとき、積 $XY$ の期待値は、 それぞれの期待値の積に等しい。すなわち、

独立な確率変数の積の期待値00

が成立する。
最終更新 2015年 9月28日


  証明   離散型の場合  

  確率変数 $X$ が

独立な確率変数の積の期待値01

の $m$ 個の値をとり、確率変数 $Y$ が

独立な確率変数の積の期待値02

の $n$ 個の値をとるする。
  $X=x_{i}$ かつ $Y=y_{j}$ と観測される同時確率を

独立な確率変数の積の期待値03

と表すとき、積 $XY$ の期待値 $E(XY)$ は、

独立な確率変数の積の期待値04

である。
  ところで、同時確率 $(1)$ が

独立な確率変数の積の期待値05

を満たす場合、確率変数 $X$ と $Y$ が独立であるという。 ここで、$\mathrm{Pr} (X=x_{i})$ は、$X=x_{i}$ と観測される確率であり、 $\mathrm{Pr} (Y=y_{i})$ は、$Y=y_{i}$ と観測される確率である。
  $(3)$ が成立する場合、積の期待値 $(2)$ は、

独立な確率変数の積の期待値06

と表される。
  $X$ と $Y$ の期待値がそれぞれ

独立な確率変数の積の期待値07

であるので、$(4)$ から、

独立な確率変数の積の期待値08

であることが示される。

  証明   連続型の場合  

  確率変数 $X$ と $Y$ の確率密度関数をそれぞれ $p_{X}(x)$、$p_{Y}(y)$ と表し、 同時確率密度関数を $p_{X,Y}(x,y)$ と表すとき、 これらが

独立な確率変数の積の期待値09

を満たすならば、 確率変数 $X$ と $Y$ が独立であるという。
  このとき、積 $XY$ の期待値 $E(XY)$ は、

独立な確率変数の積の期待値10

と表される。右辺の括弧内は、それぞれ $X$ と $Y$ の期待値である。すなわち、

独立な確率変数の積の期待値11

であるので、

独立な確率変数の積の期待値12

が成立する。

  例   独立な場合  

  独立な場合の期待値の例として、歪みのない二枚のコインの裏表を取り上げる。

  二枚のコイン $X$ と $Y$ があり、 コイン $X$ を投げて表が出たときに $X=+1$ を割り当て、裏が出た場合に、$X=-1$ を割り当てる。 コインに歪みが無い場合、

独立な確率変数の積の期待値13

であるので、コイン $X$ を投げたときの期待値は、

独立な確率変数の積の期待値14

である。
  同じように、$Y$ のコインの表が出たときに $Y=+1$ を割り当て、裏が出た場合に、$Y=-1$ を割り当てると、 コインに歪みが無い場合、

独立な確率変数の積の期待値15

であるので、 コイン $Y$ を投げたときの期待値は、

独立な確率変数の積の期待値16

である。 。
  コイン $X$ と $Y$ が (例えば、まったく別々の環境で投げられ)、互いに独立であるとするならば、 同時確率は、$(3)$ から

独立な確率変数の積の期待値17

である。
  このとき、積 $XY$ の期待値は、

独立な確率変数の積の期待値18

である。 よって、$(*)$ が成立する。

  例   独立でない場合  

  上と同じように、二枚のコイン $X$ と $Y$ があり、 コインの表が出たときに $+1$ を割り当て、裏が出た場合に、$-1$ を割り当てる。 ただし、 $X$ と $Y$ が頑丈にくっ付けられているとする。
  その結果、 $X$ が表のときに、$Y$ が必ず表になり、 $X$ が裏のときには、 $Y$ が必ず裏になるとする。 このとき、 $X$ が表のときに、$Y$ が裏になる確率は、$0$ であり、 $X$ が裏のときに、$Y$ が表になる確率は、$0$ であるので、

独立な確率変数の積の期待値19

である。また、 双方が表になる確率と双方が裏になる確率が等しいとすると、

独立な確率変数の積の期待値20

である。確率の総和が $1$ であるため、このようになる。 また、独立の定義である $(3)$ が成立していないので、 $X$ と $Y$ は、独立でない。
  この場合、 $X$ が表である確率と裏である確率は、それぞれ

独立な確率変数の積の期待値21

であり、 $Y$ が表である確率と裏である確率は、それぞれ

独立な確率変数の積の期待値22

であるので、それぞれの期待値は、

独立な確率変数の積の期待値23

である。
  積 $XY$ の期待値は、

独立な確率変数の積の期待値24

である。
  よって、$X$ と $Y$ が独立でないこの例では、$(*)$ が成立しない。







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