カイ二乗分布に従う確率変数の比 $\sim$ F分布

  確率変数 $X$ と $Y$ がそれぞれカイ二乗分布

カイ二乗分布に従う確率変数の比が従う分布はF分布00

に従い、$X$ と $Y$ が独立であるならば、確率変数 $\frac{X/m}{Y/n}$ は、自由度 $(m,n)$ のF分布に従う。 すなわち、

カイ二乗分布に従う確率変数の比が従う分布はF分布001
である。
最終更新 2018年 7月15日


  証明  

  確率変数 $Z$ が従う確率密度関数を $P_{Z}(z)$ と表すとき、 $Z$ の値が $a$ から $b$ の間に観測される確率 $\mathrm{Pr} ( \hspace{1mm} a \leq Z \leq b \hspace{1mm})$ は、

カイ二乗分布に従う確率変数の比が従う分布はF分布01
である。 $$ Z= \frac{X/m}{Y/n} \tag{*} $$ とすると、 $Z$ の値が

カイ二乗分布に従う確率変数の比が従う分布はF分布02

に含まれるのは、$X$ と $Y$ が

カイ二乗分布に従う確率変数の比が従う分布はF分布03

を満たす場合である。 $(2)$ は、直線

カイ二乗分布に従う確率変数の比が従う分布はF分布04
と直線

カイ二乗分布に従う確率変数の比が従う分布はF分布05

に挟まれた領域を表すので、 $Z$ の値が $a$ から $b$ の間に含まれるのは、 観測値 $(X, Y)$ が、これらの二直線に挟まれた領域の中に含まれる場合である(下図)。従って、 この領域を $D$ とすると、

カイ二乗分布に従う確率変数の比が従う分布はF分布06

が成立する。
カイ二乗分布に従う確率変数の比が従う分布はF分布の図00
一般に、観測値 $(X,Y)$ がある領域の中に含まれる確率は、 $X$ と $Y$ の同時確率密度関数

カイ二乗分布に従う確率変数の比が従う分布はF分布07

をその領域に渡って積分したものであるから、

カイ二乗分布に従う確率変数の比が従う分布はF分布08

が成立する。 従って、 $(1)(3)(4)$ より、

カイ二乗分布に従う確率変数の比が従う分布はF分布09

である。
  領域 $D$ に渡る積分は、 $y$ について $\frac{1}{b} \frac{n}{m}x$ から $\frac{1}{a} \frac{n}{m}x$ まで積分した後、 $x$ について $-\infty$ から $+\infty$ まで積分する二重積分である。すなわち、

カイ二乗分布に従う確率変数の比が従う分布はF分布10

である。よって、$(5)(6)$ から、

カイ二乗分布に従う確率変数の比が従う分布はF分布11

である。
  $X$ と $Y$ が従う確率密度関数をそれぞれ $ P_{X}(x)$ と $ P_{Y}(y)$ とすると、 $X,Y$ が互いに独立であると仮定したので、

カイ二乗分布に従う確率変数の比が従う分布はF分布12

が成立する。従って、

カイ二乗分布に従う確率変数の比が従う分布はF分布13

である。 $X$ と $Y$ は、それぞれ自由度 $m$ と $n$ のカイ二乗分布に従うと仮定したので、 確率密度関数は、

カイ二乗分布に従う確率変数の比が従う分布はF分布14

である。よって、

カイ二乗分布に従う確率変数の比が従う分布はF分布15

である。
  $y$ に関する積分に対し、

カイ二乗分布に従う確率変数の比が従う分布はF分布16

と置換すると、

カイ二乗分布に従う確率変数の比が従う分布はF分布17

であるので、

カイ二乗分布に従う確率変数の比が従う分布はF分布18

と表せる。
  $x$ に関する積分に対し、

カイ二乗分布に従う確率変数の比が従う分布はF分布19

と置くと、

カイ二乗分布に従う確率変数の比が従う分布はF分布20

であるから、

カイ二乗分布に従う確率変数の比が従う分布はF分布21
である。
  $(8)$ と $(9)$ より、

カイ二乗分布に従う確率変数の比が従う分布はF分布22

である。ここで $u$ に関する積分は、ガンマ関数の定義により、

カイ二乗分布に従う確率変数の比が従う分布はF分布23

であるので、

カイ二乗分布に従う確率変数の比が従う分布はF分布24
となる。
  $(7)$ と $(10)$ により、

カイ二乗分布に従う確率変数の比が従う分布はF分布25

が成立する。
  ここで、ベータ関数とガンマ関数の間には、一般に

カイ二乗分布に従う確率変数の比が従う分布はF分布26

の関係があるので、

カイ二乗分布に従う確率変数の比が従う分布はF分布27

と表せる。
  両辺を $b$ で微分すると、

カイ二乗分布に従う確率変数の比が従う分布はF分布28

である。 これは、自由度 $(m,n)$ のF分布の確率密度関数である。
  以上から、自由度がそれぞれ $m$ と $n$ のカイ二乗分布に従う確率変数の比 $(*)$ は、自由度 $(m,n)$ のF分布に従う。









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