球面三角形の面積の求め方

最終更新 2017年 7月5日
  半径 $1$ の球上にある球面三角形の面積 $S_{ABC}$ は、
である。 ここで $\alpha,\beta,\gamma$ はそれぞれ球面三角形の内角である。

  証明

  半径 $1$ の球上にある三点 $A,B,C$ から成る球面三角形を $ABC$ とする。 球の中心を $O$ とし、 直線 $OA$ 上にあり、$A$ とは反対側で球と交差する点を $A'$ とする。 同様に $B'$ と $C'$ を定義する (下図)。
球面三角形を $ABC$ (表側) と $A'B'C'$ (裏側)
$AA'$, $BB'$, $CC'$ は球の直径を成し、 三点 $A', B', C'$ から成る球面三角形 $A'B'C'$ は、 $ABC$ と合同な球面三角形になる。 従って、 $ABC$ の面積 $S_{ABC}$ と $A'B'C'$ の面積 $S_{A'B'C'}$ の面積は等しい。 すなわち、
が成り立つ。
  点 $A,B,C$ における球面三角形の成す角をそれぞれ $\alpha, \beta, \gamma$ とし、 弧 $CA$ を含む円弧と弧 $AB$ を含む円弧によって囲まれた弓形領域 $AA'$ (下図)に着目し、 この領域の面積を $S_{AA'}$ と表す。
弓型領域$ AA'$ (黄色)
弓形領域 $AA'$ は球面三角形 $ABC$ と $A'B'C'$の双方を含む。
  同じように弧 $AB$ を含む円弧と弧 $BC$ を含む円弧によって囲まれた弓形領域 $BB'$ (下図)に着目し、 この領域の面積を $S_{BB'}$ と表す。
弓型領域$ BB'$ (水色)
弓形領域 $BB'$ もまた球面三角形 $ABC$ と $A'B'C'$の双方を含む。
  再び同じように弧 $BC$ を含む円弧と弧 $CA$ を含む円弧によって囲まれた弓形領域 $CC'$ (下図)に着目し、 この領域の面積を $S_{CC'}$ と表す。
弓型領域$ CC'$ (黄緑色)
弓形領域 $CC'$ もまた球面三角形 $ABC$ と $A'B'C'$の双方を含む。
  以上で定義した3つの弓形領域 $AA'$ と $BB'$ と $CC'$ の和集合の領域は、 球面全体を覆う領域になる。 すなわち、
となる。 しかしながら、 3つの弓形領域の面積を全て足し合わせても球面全体の面積 $S$ とは一致しない。 その理由は、 3つの弓形領域が球面三角形 $ABC$ と $A'B'C'$ を共通部分に持つからである。
共通部分 (赤色)
弓形領域の面積の総和を使って球の表面積を表すためには、 面積の総和から共通部分である球面三角形 $ABC$ と $A'B'C'$ の面積を差し引けばよい。 具体的には、 それぞれの弓型領域が球面三角形 $ABC$ と $A'B'C'$を含むことから、 総和
の中には、 球面三角形 $ABC$ と $A'B'C'$面積がそれぞれ三個分ずつ含まれることになる。 ゆえに、 このままでは面積を重複して足し合わせてしまうことになるので、 ここから二個分の面積を差し引くと球の表面積に等しくなる。 すなわち、
が成り立つ。 この式は $(1)$ から
と表せる。 後の補足で説明するようにそれぞれの弓形領域の面積は
であり、 半径 $1$ の球の面積は
である。 したがって $(2)$ から
が成り立ち、 ここから
を得る。
補足: 弓形の面積
  上で定義した弓形領域 $AA'$ の面積を求める。 この領域は弧 $CA$ を含む平面 $P_{CA}$ と弧 $AB$ を成す平面 $P_{AB}$ で球の表面を切り取った領域である。 図から示唆されるようにこの領域は角度 $\alpha$ に比例する。
点 $A$ の真上から見た図
ゆえに
と表せる ($K$ は比例定数) 。 球面から弓型領域 $AA'$ を取り除いた領域もまた平面 $P_{CA}$ と平面 $P_{AB}$ で球の表面を切り取った領域であり、 こちらの場合には成す角が $\pi - \alpha$ であるので、 この領域の面積 $T_{AA'}$ とすると、
と表せる。 双方を合わせると、 球の表面積に一致するので、
が成り立つ。 これらから
であることが分かる。 ゆえに
である。
  より厳密に議論する場合には、 半径 $1$ の球面の面積を極座標表示した積分によって表す式
を導くときと同様に考えるとよい。 球の表面積の場合は、 球面の全てを覆うように積分範囲を指定する必要があったが、 弓形領域の半分の領域
弓形領域の半分の領域 (黄色)
の面積を求める場合は $\phi$ に関する積分範囲を $\alpha$ にすると、その領域が覆われる。 ゆえに弓形領域の半分の面積は
となる。 これから $S_{AA'} = 4\alpha$ を得る。