同次連立一次方程式が自明な解以外の解を持つ
  ⇔   係数行列の行列式が 0  

最終更新 2017年 6月3日
  同次連立一次方程式 $ A \mathbf{x} = 0 $ が自明な解以外の解 ($\mathbf{x}\neq 0$) を持つことと、 その係数行列 $A$ の行列式が $0$ であることは同値である。 すなわち、
同次連立一次方程式が自明な解以外の解を持つ⇔係数行列の行列式が 0
が成立する。

  証明

  行列 $A$ の行列式が 0 でないことと、$A$ が正則行列であることは同値である。 すなわち
が成立する。
  また、 $A$ が正則行列であることと、 $A$ を係数行列とする同次連立一次方程式 $ A \mathbf{x} = 0 $ の解が自明な解 $x=0$ のみであることは同値である。 すなわち、
が成立する。
  ゆえに、 $A$ の行列式が 0 でないことと、 $A$ を係数行列とする同次連立一次方程式 $ A \mathbf{x} = 0 $ の解が自明な解 $x=0$ のみであることは同値である。 すなわち
が成立する。
  上の関係の対偶を考えると、
が成立することが分かる (下の補足を参考)。
例:
(1)   自明な解のみで、行列式が 0 でない例
  連立一次方程式
の解は、直線 $2x-y = 0$ と直線 $x+y = 0$ の交点である。 両直線は、原点のみで交わる。すなわち解は
のみである。 行列 $A$ と ベクトル $\mathbf{x}$ を
と定義すると、上の連立方程式は、
と表されるが、解は $\mathbf{x}=0$ のみであり、
である。
(ii)  自明な解以外の解を持ち、行列式が 0 である例
連立一次方程式
は、 二つの式が同一の直線
を表しているので、 この直線上の全ての点が解である。
  ここで 行列 $A'$ を
と定義すると、 上の連立一次方程式は、
と表されるが、 $A'$ の行列式は
であり、 直線 $(1)$ 上の全ての点が解であることから、 $\mathbf{x}=0$ ではない解が存在する。
補足: 対偶について
  上の議論で必要十分条件
の対偶が
であることを述べたが、 それは次のように考えるとよい。
  一般に 命題
が成立するときに、
もまた成立する。 これを上の命題の対偶と呼ぶ。 数学の世界では必ずしも対偶が成立するわけではないが、 古典論理と呼ばれる殆どの場合で考えられる論理体系の中では、 これが正しいとされる (下のベン図を参考)。
これを踏まえて、
とする。 このとき、
である。 $(2)$ により
が成立するので、 その対偶である
もまた真である。 よって、
が成立する。
  一方で、 再び $(2)$ により
が成立するので、 その対偶である
もまた真である。 よって、
が成立する。
  以上から
を得る。