同次連立一次方程式の解空間の次元

  $A$ を $m$ 行 $n$ 列の行列とし、$\mathbf{x}$ を成分が $n$ 個のベクトルとするとき、 同次連立一次方程式

解空間の次元00

の解空間の次元は、行列の列の数と階数の差である。すなわち、

解空間の次元01

である。
最終更新 2015 年 7月 1日


  証明

  行列 $A$ とベクトル $\mathbf{x}$ をそれぞれ

解空間の次元02

と表すとき、$(*)$ は次のように表される。

解空間の次元03

このように定数項が 0 になっている(右辺が 0 になっている)連立一次方程式を同次連立一次方程式という。
  ここで $A$ の列ベクトルを $\mathbf{a}_{1}, \mathbf{a}_{2}, \cdots, \mathbf{a}_{n}$ と表す。

解空間の次元04

このとき $(*)$ は、次のように表される。

解空間の次元05

  行列 $A$ を簡約化した行列を $A^{e}$ とし、 $A^{e}$ の列ベクトルを $\mathbf{a}_{1}^{e}, \mathbf{a}_{2}^{e}, \cdots, \mathbf{a}_{n}^{e}$ と表す。

解空間の次元06

簡約化された行列は、もとの行列を行基本変形したものである。 また、 行基本変形は、列ベクトルの一次関係を不変に保つ。 よって、 簡約化された行列ともとの行列は、同一の一次関係を持つ。 ゆえに、$A^e$ の列ベクトルには $(1)$ と同じ一次関係が成立する。

解空間の次元07

が成立する。
  一般に簡約化された行列は、 1 行から順に右に向かって一段ずつ主成分が下がってゆく階段状の行列である(たとえば、下のような行列)。

解空間の次元09

また、主成分を持つ列ベクトルでは、主成分の値が 1 であり、 それ以外の成分が全て 0 になっている。 従って、主成分を持つ列ベクトルは、次の基本ベクトルのどれかになっている。

解空間の次元10

ここで、$A^{e}$ に含まれる主成分の数が $r$ 個であるとした。
  いま、上の基本ベクトル $\mathbf{e_{j}}$が $A^{e}$ の $k_{j}$ 列目の列ベクトルであるとする。すなわち、

解空間の次元11

とする。
  これらは主成分を持つ列ベクトルであるが、その一方、 $A^e$ の列ベクトルには、主成分を持たない列ベクトルがある。主成分を持つ列の数を $r$ 個としたので、 主成分を持たない列の数は、$n-r$ 個である。 これらのそれぞれが $A^{e}$ の列の中で $s_{1}, s_{2}, \cdots, s_{n-r}$ 番目にあるものとする。すなわち、

解空間の次元12

が主成分を持たない列ベクトルであるとする。
  上で述べたように、簡約化された行列は、 1 行から順に右に向かって一段ずつ主成分が下がってゆく階段状の行列である。 よって、$r$ 個の主成分を持つ簡約化された行列には、 $r+1$ 段以降に主成分が現れない。 そのためには、行列の $r+1$ 行以降の成分が全て 0 でなくてはならないので、 $A^{e}$ の列ベクトルは必ず $r+1$ 成分以降が 0 になっている。すなわち、

解空間の次元13

の形をしている。従って、$(3)$ もまた、$r+1$ 成分以降の成分が全て 0 である。
  ゆえに、$(3)$ に含まれる列ベクトルは必ず基本ベクトル $(2)$ の線形結合によって表すことが出来る。 そこで、

解空間の次元14

と表す。
  ところで、$(2)$ と $(3)$ を合わせた列ベクトルの集合

解空間の次元15

$A^{e}$ の列ベクトルの全体であるので、

解空間の次元16

の順番を入れ替えたものに過ぎない。 従って、一次関係 $(1)$ を

解空間の次元17

と表すことができる。
  $(4)$ を用いると、この関係は、

解空間の次元18

と表される。この式を $\mathbf{a}_{k_{j}}^e$ ごとにまとめると、

解空間の次元19

である。
  $(2)$ により、 $\mathbf{a}_{k_{1}}^e, \cdots, \mathbf{a}_{k_{r}}^e $ はそれぞれが異なる基本ベクトルであるので、 線形独立である。 ゆえに、各係数は 0 である。すなわち、

解空間の次元20

である。
  ここで $\mathbf{x}'$ を

解空間の次元21

と置くと、$(5)$ から $\mathbf{x}'$ を

解空間の次元22

ここで現れたベクトル

解空間の次元23

は線形独立であるので、$(6)$ は、$\mathbf{x}'$ が $n-r$ 個の線形独立なベクトルの線形結合によって書けることを表している。
  ところで、$\mathbf{x}'$ は $\mathbf{x}$ の成分の順番を入れ替えただけのベクトルである。 ゆえに、$\mathbf{x}'$ が $n-r$ 個の線形独立なベクトルの線形結合で表されるならば、 $\mathbf{x}$ もまた $n-r$ 個の線形独立なベクトルの線形結合によって表される。
  このことは、$\mathbf{x}$ が(すなわち、$(*)$ の解が) $n-r$ 個の線形独立なベクトルを基底とするベクトル空間を構成することを表している。 それに従って $(*)$ の解の全体は、 連立一次方程式の解空間と呼ばれる。 また、独立なベクトルの数 $n-r$ を解空間の次元という。
  ここで、簡約化された行列の主成分の数はもとの行列のランクに等しいことから、

解空間の次元24

が成立する。
  以上から、連立一次方程式の解空間の次元は、

解空間の次元25

である。





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