行列が対角化可能ならば、固有空間の次元は、固有方程式の重複度に等しい

  行列が対角化可能dであるならば、 固有空間の次元は、 固有方程式の重複度に等しい。 すなわち、 $$ \mathrm{dim} E_{\lambda_{i}} = m $$ が成立する。 ここで $E_{\lambda_{i}}$ は、$A$ の固有値 $\lambda_{i}$ の固有空間であり、 $m$ は、$\lambda_{i}$ の重複度である。
最終更新 2015 年 2月2日


  準備と説明

  $n$ 次正方行列 $A$ の固有ベクトルと固有値とは、

固有空間の次元は重複度に等しい01

を満たす

固有空間の次元は重複度に等しい02

のベクトル $\mathbf{a}$ と値 $\lambda$ である。
  $(1)$ は、

固有空間の次元は重複度に等しい03

と表してもよい。 $(3)$ は、 同次連立一次方程式であり、$(2)$ を満たす解を持つことと、 行列式が 0 であることが同値である(同次連立一次方程式が自明な解以外の解を持つ場合を参考のこと)。 従って、

固有空間の次元は重複度に等しい04

が成立する。 $(4)$ の左辺は、$\lambda$ に関する $n$ 次多項式であるので、 代数学の基本定理によって、 $n$ 個の積による因数分解が可能である。よって、

固有空間の次元は重複度に等しい05

と表すことができる ($\lambda_{1} \leq \lambda_{2} \leq \cdots \leq \lambda_{n}$)。したがって、$(4)$ は、

固有空間の次元は重複度に等しい06

と表される。 これより、

固有空間の次元は重複度に等しい07

が成立するので、固有値 $\lambda$ は、$\lambda_{1}, \hspace{1mm} \lambda_{2}, \cdots, \lambda_{n}$ のいずれかである。
  $(6)$ の固有値のうち、$m$ 個の値が等しく、その $m$ 個の固有値が、それら以外の固有値とは値が異なるものとする。 すなわち、 \begin{eqnarray} \lambda_{i} &=& \lambda_{i+1} = \cdots = \lambda_{i+m-1} \\ \lambda_{i} &\neq& \lambda_{j} \hspace{5mm} (j = 1, \cdots, i-1, i+m, \cdots,n) \\ \tag{7} \end{eqnarray} であるとする。 このとき、$(5)$ を

固有空間の次元は重複度に等しい09

と表すことが出来る。$m$ を重複度という。
  固有値 $\lambda_{i}$ を持つベクトルの全体を $E_{\lambda_{i}}$ とする、すなわち、

固有空間の次元は重複度に等しい10

を満たすベクトル $\mathbf{a}_{i}$ の全体を $E_{\lambda_{i}}$ と表すと、 $E_{\lambda_{i}}$ は、部分空間を構成し、固有値 $\lambda_{i}$ の固有空間という。
  このとき、$A$ が対角化可能であるならば、すなわち、

固有空間の次元は重複度に等しい11

を満たす正則行列 $P$ と対角行列 $\Lambda$ が存在するならば、 $E_{\lambda_{i}}$ の次元は、$\lambda_{i}$ の重複度 $m$ に等しいことが示される。 すなわち、

固有空間の次元は重複度に等しい12

が成立する。 $(11)$ を以下のように証明する。


  証明

  $(9)$ を

固有空間の次元は重複度に等しい13

と表してもよい。 上で定義したように、 これを満たす $\mathbf{a}_{i}$ の全体が $E_{\lambda_{i}}$ である。
  一般に、同次連立一次方程式 $B \mathbf{x} = 0$ を満たす $\mathbf{x}$ 全体の次元は、 $n - \mathrm{rank}(B)$ である (解空間の次元を参考)。 よって、$(12)$ より、 $E_{\lambda_{i}}$ の次元は、

固有空間の次元は重複度に等しい14

である。
  ここで、 正則行列を掛けてもランクが変わらないことから、 $(10)$ より、

固有空間の次元は重複度に等しい15

が成立する。よって、

固有空間の次元は重複度に等しい16

である。
  ここで、$\Lambda$ は、$A$ を対角化した行列であり、 対角化した行列の対角成分は、もとの行列の固有値に等しいことから、 $ \Lambda $ は、 $$ \Lambda = \left[ \begin{array}{cccc} \lambda_{1} & \\ & \ddots & \\ & & \lambda_{i-1} \\ && & \lambda_{i}\\ & && & \ddots \\ && && & \lambda_{i+m-1} \\ & && && & \lambda_{i+m} \\ & & && && & \ddots \\ && && &&& & \lambda_{n} \\ \end{array} \right] $$ と表される。 一方で、 $ \lambda_{i}I$ は、

固有空間の次元は重複度に等しい18

であるので、$(7)$ より、 $$ \lambda_{i}I - \Lambda = \left[ \begin{array}{cccc} \lambda_{i}-\lambda_{1} & \\ & \ddots & \\ & & \lambda_{i}-\lambda_{i-1} \\ && & 0 & \\ & && & \ddots \\ && && & 0 && \\ && && & & \lambda_{i}-\lambda_{i+m} \\ & && && & \ddots \\ & && &&& & \lambda_{i}-\lambda_{n} \\ \end{array} \right] $$ である。よって、$\lambda_{i}I - \Lambda$ は、$m$ 個の対角成分が $0$ であり、 それ以外の成分は $0$ でない $n$ 次対角行列である。
  この行列の簡約化行列は、

固有空間の次元は重複度に等しい20

であり、 行列のランクは、簡約化した行列の主成分に等しいので、

固有空間の次元は重複度に等しい21

が成立する。
  これと $(13)$ から、

固有空間の次元は重複度に等しい22

である。






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