行基本変形によって列ベクトルの線形独立性は保たれる

  任意の行列において、列ベクトルが互いに線形独立ならば、 その行列を行基本変形した行列の列ベクトルもまた線形独立になる。
最終更新 2015 年 11月14日


  準備

  任意の $m \times n$ の行列 $A$ を

行基本変形によって列ベクトルの線形独立性は保たれる00

と表す。また $A$ の列ベクトルを

行基本変形によって列ベクトルの線形独立性は保たれる01

と表す。 行列 $A$ の列ベクトル互いに線形独立であるとは、

行基本変形によって列ベクトルの線形独立性は保たれる02

が成立することである。
  $(*2)$ の関係を成分を使って表すと、

行基本変形によって列ベクトルの線形独立性は保たれる03

である。
  ところで、 行基本変形とは、 行列に対して次の操作を行うことを指す。

$(1)\hspace{2mm}$ 行を定数倍する。
$(2)\hspace{2mm}$ ある行と他の行を入れ替える。
$(3)\hspace{2mm}$ ある行に他の行の定数倍を加える。

以下では、 $(1)(2)(3)$ のどの変形を行った後でも 、列ベクトルが線形独立性を保つことを証明する。

  行基本変形 $(1)$ に対する証明

  $A$ に対して、$(1)$ の変形を行っても、列ベクトルの線形独立性が保たれることを証明する。 そこで、 行列 $A$ の $i$ 行が定数 $c$ 倍された行列を $A^{c}$ とする。

行基本変形によって列ベクトルの線形独立性は保たれる04

また、$A^{c}$ の列ベクトルを

行基本変形によって列ベクトルの線形独立性は保たれる05

と表す。
  ここで、

行基本変形によって列ベクトルの線形独立性は保たれる06

を仮定すると、この関係は$ (*4)$ より、

行基本変形によって列ベクトルの線形独立性は保たれる07

と表される。上の $i$ 番目の式を $c$ で割ると、

行基本変形によって列ベクトルの線形独立性は保たれる08

である。この関係から $(*3)$ により

行基本変形によって列ベクトルの線形独立性は保たれる09

が成立する。
  以上から、$(*5)$ の仮定のもとで、$(*6)$ が成立するので、$A^{c}$ の列ベクトル $(*4)$ は、線形独立である。

  行基本変形 (2) に対する証明

  $A$ に対して、$(2)$ の変形を行っても、列ベクトルの線形独立性が保たれることを証明する。 そこで、 行列 $A$ の $i$ 行と $j$ 行が入れ替えた行列を $A^{r}$ とする。

行基本変形によって列ベクトルの線形独立性は保たれる10

また、$A^{r}$ の列ベクトルを

行基本変形によって列ベクトルの線形独立性は保たれる12

と表す。
  ここで、

行基本変形によって列ベクトルの線形独立性は保たれる13

を仮定すると、$(*7)$ により、この関係は、

行基本変形によって列ベクトルの線形独立性は保たれる14

と表されるが、これらは $(*3)$ の左側の順番を入れ替えた式に過ぎない。
  従って、$(*3)$ により、

行基本変形によって列ベクトルの線形独立性は保たれる15

が成立する。
  以上から、$(*8)$ の仮定のもとで、$(*9)$ が成立するので、$A^{r}$ の列ベクトル $(*7)$ は、線形独立である。

  行基本変形 (3) に対する証明

  $A$ に対して、$(3)$ の変形を行っても、列ベクトルの線形独立性が保たれることを証明する。 そこで、 行列 $A$ の $i$ 行に $j$ 行の $c$ 倍が加えられた行列を $A^{e}$ とする。

行基本変形によって列ベクトルの線形独立性は保たれる16

また $A^{e}$ の列ベクトルを

行基本変形によって列ベクトルの線形独立性は保たれる17

と表す。
  ここで、

行基本変形によって列ベクトルの線形独立性は保たれる18

を仮定すると、$(*10)$ により、この関係は、

行基本変形によって列ベクトルの線形独立性は保たれる19

と表される。
  $i$ 番目の式から、$j$ 番目の式の $c$ 倍を引くと、

行基本変形によって列ベクトルの線形独立性は保たれる20

であるが、 これらは $(*3)$ の左側のそのものである。
  従って、$(*3)$ により、

行基本変形によって列ベクトルの線形独立性は保たれる21

が成立する。
  以上から、$(*11)$ の仮定のもとで、$(*12)$ が成立するので、$A^{e}$ の列ベクトルは、線形独立である。
 

  まとめ

  行基本変形 $(1)(2)(3)$ のいずれを行っても、線形独立性が保たれるので、 任意の行基本変形を行ったとしても、列ベクトルの線形独立性は保たれる。








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