外積の大切な 9 つの性質

最終更新 2018年 1月6日
目次
- 外積の定義
- 外積の線形性
- 外積の反対称性
- 同じベクトル同士は $0$
- 外積の直交性
- 外積の大きさ = 平行四辺形の面積
- 外積とレビ・チビタ
- ベクトル三重積
- ベクトル四重積
- 外積と内積が等しいとき
- 補足
外積の定義
  $3$ 次元ベクトル $\mathbf{a}$ と $\mathbf{b}$ の外積 $\mathbf{a} \times \mathbf{b}$ は、
と定義される。
外積の線形性
  ベクトルの外積は、積を成す両方のベクトルについて線形である。 すなわち、
が成り立つ。
  ここで $\alpha$、$\beta$、$\gamma$ は定数である。

証明
  $3$ 次元ベクトル $\mathbf{a}$ と $\mathbf{b}$ と $\mathbf{c}$を
とする。 また、 $\alpha$, $\beta$, $\gamma$ を任意の実数とする。
  このとき、 外積の定義 から
である。 同様に、
となる。

補足: 双線形性
  上で示したように、外積は積を成す前側のベクトルと後ろ側のベクトルの両方のベクトルに対して線形性を持つ演算である。 このような性質を一般に双線形性 ( Bilinearity ) といい、 この言葉を借りると、 外積は「二つの $3$ 次元ベクトルを一つの $3$ 次元ベクトルにする双線形写像である。」 と言い表される。
  双線形性を持つ他の例としては、行列の積や実ベクトル空間の内積などがある。
外積の反対称性 (交代性)
  外積を成す任意の二つのベクトルを入れ替えると、もとの積と符号だけ異なるベクトルになる。 すなわち、
が成り立つ。

証明
  任意の $3$ 次元ベクトル $\mathbf{a}$ と $\mathbf{b}$ をそれぞれ
とする。
  このとき、 外積の定義に従って計算すると反対称性が示される。 すなわち、
が成り立つことが分かる。

同じベクトル同士の外積
  任意の同じベクトル同士の外積が $0$ になる。
外積の反対称性の結果である (補足1) 。

証明
  外積の反対称性により 任意の $3$ 次元ベクトル $\mathbf{a}$ と $\mathbf{b}$ に対して
が成り立つので、 $\mathbf{b} = \mathbf{a}$ の場合、
が成り立つ。 これを移項すると、
となり、 これより、
が成り立つことが分かる。
  または、 成分で表して
と証明することもできる。

外積の直交性
  任意の $3$ 次元ベクトル $\mathbf{a}$ と $\mathbf{b}$ の外積 $\mathbf{a} \times \mathbf{b}$ は、 $\mathbf{a}$ と $\mathbf{b}$ の両方と直交する。 すなわち、
が成り立つ。
外積の大きさ = 平行四辺形の面積
  外積の大きさ(長さ)は、 外積を構成するベクトルが成す平行四辺形の面積に等しい。 すなわち、
外積の大きさは平行四辺形の面積
が成り立つ。
外積とレビ・チビタの記号
  $3$ 次元ベクトル $\mathbf{a}$ と $\mathbf{b}$ の外積 $\mathbf{a} \times \mathbf{b}$ は、 レビ・チビタの記号を使って、
と表せる。
ベクトル三重積
  ベクトル三重積は次の恒等式を満たす。
ベクトル三重積
これをラグランジュの公式 (Lagrange's formula) という。
ベクトル四重積
  ベクトル四重積は次の恒等式を満たす。
ベクトル四重積
外積と内積が等しいベクトル
  あるベクトルに対して、 内積と外積が等しくなる二つのベクトルは等しい。 すなわち、 ベクトル $\mathbf{a}$ と $\mathbf{b}$ に対し、
を満たすベクトル $\mathbf{c} \hspace{1mm} (\neq 0)$ が存在するならば、
である。
補足: $\mathbf{a} \times \mathbf{a} = 0 \hspace{3mm} \Longrightarrow \hspace{3mm} \mathbf{b} \times \mathbf{a} = - \mathbf{a} \times \mathbf{b}$
  上では、 任意の $3$ 次元ベクトル $\mathbf{a}$ と $\mathbf{b}$ に対して
を証明したが、 ここでは逆に
が成り立つことを示す。
  そこで、 任意のベクトル $\mathbf{a}$ に対して
が成り立つと仮定すると、 $\mathbf{a}$ が任意であることから、 同じ関係が 任意のベクトル $\mathbf{a}$ と $\mathbf{b}$ の和に対しても成り立つ。 すなわち、
が成り立つ。
  外積の線形性を用いて、 右辺を展開すると、
となるが、 $(2)$ から
であるので、
である。 これを移項すると、
を得る。
  この証明では、 ベクトルの成分表示を用いていない。 また、 $3$ 次元ベクトルであることも使っていない。 ここで使ったのは、積について線形性のみである。
  したがって、ベクトルに対してある「積」が定義されて、 その「積」が線形性を持ち、同じもの同士の「積」が $0$ になるならば、 その「積」には反対称性が成り立つ。
  この性質はベクトルの次元に依らない。