外積の直交性

最終更新 2017年 12月25日
  任意の $3$ 次元ベクトル $\mathbf{a}$ と $\mathbf{b}$ の外積 $\mathbf{a} \times \mathbf{b}$ は、 $\mathbf{a}$ と $\mathbf{b}$ の両方と直交する。 すなわち、
が成り立つ。 ここで $( \cdot , \cdot )$ はベクトル間の内積である。
  以下では、証明と簡単な例、応用例と逆の命題も成り立つことを紹介する。

  解説

直交性の証明
  任意の $3$ 次元ベクトル $\mathbf{a}$ と $\mathbf{b}$ の成分をそれぞれ
と表す。
  外積の定義から、
である。
  各成分で表すと、
である。
  ベクトル間の内積が
であることを用いると、
が成り立つことが示される。 同じように、
が成り立つ 。
例:
  $3$ 次元ベクトル $\mathbf{a}$ と $\mathbf{b}$ が
の場合、
であるので、
が成り立つ。
応用: 平面の法線ベクトル
  上記の直交性の性質は、 平面の法線ベクトルを求めるときに使われる。
  平面の法線ベクトルは、 平面上の直線と直交するベクトルである。 そこで、 任意の異なる $3$ 点の位置ベクトル $\mathbf{a}$、$\mathbf{b}$、$\mathbf{c}$ が与えられたときに、 平面上の直線の方向ベクトル
を計算し、 これと直交するベクトルである
を計算すると、 これが $3$ 点を通る平面の法線ベクトルになる ( 下図 )。
補足: 直交するベクトルは外積のみ
  $0$ でない二つの独立な $3$ 次元ベクトル $\mathbf{a}$ と $\mathbf{b}$ の両方と直交する方向は、 それらの外積 $ \mathbf{a} \times \mathbf{b} $ の方向に限る。 すなわち、
であるならば、
が成り立つことを示す。 ここで、 $\gamma$ は定数である。
  一般に任意の $3$ 次元ベクトルは、 $0$ でない独立な二つの $3$ 次元ベクトルとそれらの外積の線形結合によって表すことができるので、 $\mathbf{n}$ を
と表す。
  すると、 $(1)$ の第一式から
が成り立つ。 ここで、 スカラー3重積の循環性を用いると、 左辺は、
と表せるので、
となる。
  これと同様に $(1)$ の第二式から、
が得られる。
  これらを $\alpha$ と $\beta$ に関する連立一次方程式と見なすと、
と成り立つことが分かるが、 内積とコサインの関係から、 $\mathbf{a}$ と $\mathbf{b}$ のなす角を $\theta$ とすると、
であるので、
と表される。
  ここで、 $\mathbf{a}$ と $\mathbf{b}$ は $0$ でないベクトルなので、 $ \| \mathbf{a} \|^2 \| \mathbf{b} \|^2 \neq 0 $ であり、 $\mathbf{a}$ と $\mathbf{b}$ は 互いに独立なので ( 平行なベクトルではないから )、 $ \sin^2 \theta \neq 0 $ である。 ゆえに
である。
  これより、
が成り立つが、 $\mathbf{b}$ は $0$ でないベクトルであるため、 $ \| \mathbf{b} \|^2 \neq 0 $ であることから、
である。
  以上から
である。