ベクトル解析

  3次元ベクトルの展開

  任意の3次元ベクトル $\mathbf{x}$ は、 $0$ でない2つの独立なベクトル $\mathbf{a}$, $\mathbf{b}$ とそれらの間の外積 $\mathbf{a} \times \mathbf{b}$ による線形結合によって表すことができる。 すなわち、

3次元ベクトルの展開 00

と表せる。
最終更新 2016年 8月16日


  証明


はじめに
  3次元ベクトル空間の任意のベクトルは、 3つの線形独立なベクトルによる線形結合によって表すことができる
  このとき、 3つのベクトルは何であっても構わない。 すなわち、 どんな3つのベクトルであっても、 それらが互いに線形独立であるならば、 任意のベクトルを線形結合によって表すことができる(証明は「次元と同じ数だけある線形独立なベクトルは基底になる」を参考) 。
  従って、 $0$ でない2つの独立なベクトル $\mathbf{a}$, $\mathbf{b}$ とそれらの間の外積 $\mathbf{a} \times \mathbf{b}$ が、 互いに独立な3つのベクトルであるならば、 $\mathbf{x}$ をそれらの線形結合で表すことができる。
  以下では、 そのことを証明する。


線形独立性の証明
  $0$ でない2つの独立なベクトル $\mathbf{a}$, $\mathbf{b}$ とそれらの間の外積 $\mathbf{a} \times \mathbf{b}$ が、 互いに線形独立であることを示す。
  そこで、



とおく。 ここで、 係数 $C_{\mathbf{a} }, C_{\mathbf{b} }, C_{\mathbf{a} \times \mathbf{b} } $ が全て 0 になるならば、 $\mathbf{a}$, $\mathbf{b}$, $\mathbf{a} \times \mathbf{b}$ は、互いに線形独立である。
  $(1)$ の左辺と $\mathbf{a}$ との内積は、

3次元ベクトルの展開02

となるが、 左辺は、 スカラー3重積の循環性を用いると、

3次元ベクトルの展開03

と表せるので、

3次元ベクトルの展開04

が成立する。
  同様に、 $(1)$ の左辺と $\mathbf{b}$ との内積を考えると、

3次元ベクトルの展開05

が成立する。
  $(2)$ と $(3)$ を $C_{\mathbf{a} } $ と $C_{\mathbf{b} } $ に関する連立一次方程式と見なし、 $(2)$ の $\| \mathbf{b} \|^2$ 倍から、 $(3)$ の $( \mathbf{a},\hspace{1mm} \mathbf{b} )$ 倍を引くと、

3次元ベクトルの展開06

となるが、 内積とコサインの関係から、 $\mathbf{a}$ と $\mathbf{b}$ のなす角を $\theta$ とすると、

3次元ベクトルの展開07

と表せるので、 $(4)$ は、

3次元ベクトルの展開08

と表せる。
  $\mathbf{a}$ と $\mathbf{b}$ は、 $0$ でないベクトルなので、 $ \| \mathbf{a} \|^2 \| \mathbf{b} \|^2 \neq 0 $ であり、 $\mathbf{a}$ と $\mathbf{b}$ は、 互いに独立なので、 平行なベクトルではないから、 $ \sin^2 \theta \neq 0 $ である。 従って、 $(5)$ から、

3次元ベクトルの展開09

を得る。
  これを $(3)$ に代入すると、

3次元ベクトルの展開10

となるが、 $\mathbf{b}$ は、 $0$ でないベクトルであるため、 $ \| \mathbf{b} \|^2 \neq 0 $ であることから、

3次元ベクトルの展開11

を得る。
  $(6)$ と $(7)$ を $(1)$ に代入すると、

3次元ベクトルの展開12

となる。 これより、 二乗ノルムが

3次元ベクトルの展開13

となるが、 外積のノルムが平行四辺形の面積に等しいこと、 すなわち、

3次元ベクトルの展開14

によって、

3次元ベクトルの展開15

と表せるので、 $(8)$ は、

3次元ベクトルの展開16

と表せる。 これより、 $(6)$ と $(7)$ から、

3次元ベクトルの展開17

を得る。
  以上から、

3次元ベクトルの展開18

であるので、 $\mathbf{a}$、$\mathbf{b}$、$\mathbf{a} \times \mathbf{b}$ は、互いに線形独立なベクトルである。


まとめ
  「はじめに」で述べたように、 3次元ベクトル空間の任意のベクトルは、 線形独立な3つのベクトルの線形結合によって表すことができる。 よって、 任意のベクトルを $\mathbf{x}$ は

3次元ベクトルの展開22
のように表せる。








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