ポアソン分布に対する最尤法

最終更新 2016年 9月19日
  ポアソン分布

ポアソン分布の最尤推定00

を定義するパラメータ $\lambda$ の最尤推定量は、 観測値 $\{x_{1}^{M}, x_{2}^{M}, \cdots, x_{n}^{M} \}$ の平均値である。 すなわち、

ポアソン分布の最尤推定01
である。

  解説

  ポアソン分布のパラメータ推定
  母集団の確率分布がポアソン分布

ポアソン分布の最尤推定02

に従うことは分かっているが、 パラメータ $\lambda$ の値が何であるかは分かっていない。 そういう状態で $n$ 回の観測を行ったところ、 観測値

ポアソン分布の最尤推定03

を得たとする。
  この結果を使って、 パラメータ $\lambda$ の値が何であったかを推定したい。 これをポアソン分布に対するパラメータ推定という。


ポアソン分布の最尤推定
  パラメータ推定には、 様々な方法があるが、 ポアソン分布の最尤推定では、 尤度と呼ばれる次の関数

ポアソン分布の最尤推定04

が最大になるようにパラメータ推定を行う。 すなわち、 観測結果 $(2)$ から計算される尤度 $L$ が最大になる $\lambda$ を求め、 それを推定値とする。


尤度とは?
  尤度と確率の関係をここで述べる。
  観測結果全体が $(2)$ となる確率を
ポアソン分布の最尤推定05
と表すとき、 各観測が独立に行われたならば、
ポアソン分布の最尤推定06
が成立する。
  このように、 尤度は、 観測が独立に試行された場合の確率そのものであるので、 尤度が最大になるときに、 確率 $p( x_{1}^{M}, \hspace{1mm} x_{2}^{M}, \hspace{1mm}\cdots, \hspace{1mm}x_{n}^{M} ) $ も最大になる。
  ゆえに、 尤度を最大にするパラメータ $\lambda$ を求めれば、 観測値全体が $(2)$ となる確率が最大になる母集団分布が求められる。


最尤推定値の導出
  尤度を最大にする $\lambda$ を求める。
  尤度 $(3)$ を確率分布 $(1)$ によって表すと、

ポアソン分布の最尤推定08

である。
  $L$ が最大になる $\lambda$ は、 $L$ を $\lambda$ で微分して $0$ になる条件

ポアソン分布の最尤推定09

から求められる。 ただし、 最尤法では、 尤度が

ポアソン分布の最尤推定10

を満たすことから、 $\log L$ を $\lambda$ で微分して、 $0$ になる条件

ポアソン分布の最尤推定11

から求められる(これについては、 「$ f(x)>0$ のとき、 $\log f(x)$ が $x=x_m$ で最大になるならば、 $f(x)$ もまた $x=x_m$ で最大になる」 を参考)。
  $(5)$ から尤度の対数は、

ポアソン分布の最尤推定12

と表されるので、 微分が

ポアソン分布の最尤推定13

となることから、 条件 $(6)$ は、

ポアソン分布の最尤推定14

と表される。
  この式から $\lambda$ の値として、

ポアソン分布の最尤推定15

を得る。 ここで、 $\overline{x}$ は 観測値 $(2)$ の平均値である。
  このように条件 $(6)$ から $\lambda$ の値が得られたが、 この値において、 $\log L$ が最大になるかどうかはまだ分からない。 なぜなら、 条件 $(6)$ から得られる結論には、 一般に、 関数が最小になる場合や極小/極大になる場合、 および、 平らになる場合も含まれるからである。
  そこで以下では、 $\lambda$ が $(8)$ のときに、 $\log L$ が最大になることを示す。


尤度が最大になること
  $(7)$ から $\log L$ の $\lambda$ についての微分は、

ポアソン分布の最尤推定16

であるが、 この関数は、 $\lambda$ についての単調減少関数であり、 $\lambda = \overline{x}$ のときにのみ $0$ となる次のような増減表を持つ関数である。

ポアソン分布の最尤推定17

よって、 $\log L$ は、 $\lambda = \overline{x}$ のときに最大になる。


結論
  $\log L$ が $\lambda = \overline{x}$ のときに最大になることから、 $L$ そのものも、このときに最大になる。 言い換えると、 ポアソン分布の尤度 $L$ を 最大にするパラメータ $\lambda$ の値は、 観測値の平均値である。 すなわち、

ポアソン分布の最尤推定18
である。