二項分布とは
二項分布の定義
確率変数 $X$ の確率分布が
であるとき 、
$X$ が
二項分布に従うといい、
\begin{eqnarray}
X \sim B(n,k)
\end{eqnarray}
と表す。
下図は $n=10, p=0.3$ の場合の二項分布を表している。
と表される。
二項分布の期待値
二項分布 $B(n,k)$ に従う確率変数 $X$ の期待値 $E(X)$ は、
である。
証明
期待値の定義と
二項分布の定義より、
である。ここで
組み合わせ ${}_n \mathrm{C}_{\hspace{1mm}k}$ が
であることを用いた。
総和の中の $k=0$ の項が $0$ であることから、この項を取り除き、整理すると、
と表せる。
ここで、$l=k-1$ とすると、
と表せるが、
上の式の右辺の総和の部分は、
二項定理により $ 1 $ に等しい。
すなわち、
であるので、
を得る。
二項分布の分散
二項分布 $B(n,k)$ に従う確率変数 $X$ の分散 $V(X)$ は、
である。
証明
一般に
分散は二乗期待値と期待値の二乗の差である。
すなわち、
が成り立つ。
二項分布 $B(n,k)$ に従う確率変数 $X$ の期待値は
であるので、
$$
\tag{1}
$$
と表せる。
したがって、
二乗期待値 $E(X^2)$ を求めれば、分散 $V(X)$ が求まる。
二乗期待値は、二項分布の場合
である。ここで組み合わせの定義
を用いた。
右辺の総和の $k=0$ の項が $0$ であることから、この項を取り除き、整理すると、
と表せる。4 つめの等号では、
右辺を $k=(k-1)+1$ の関係を利用した。
右辺の一つめの総和の $k=1$ の項が $0$ であることから、
この項を取り除き、整理すると、
と表せる。
ここで一つめの総和に対して $l=k-2$ と置き、
二つめの総和に対して $m=k-1$ と置くと、
と表せる。
ここで
二項定理から、
が成り立つので、
である。
これを
$(1)$ に代入すると
を得る。
二項分布の標準偏差
二項分布 $B(n,k)$ に従う確率変数 $X$ の分散 $\sigma(X)$ は、
\begin{eqnarray}
\sigma(X) &=& \sqrt{V(X)}
\\
&=& \sqrt{np(1-p)}
\end{eqnarray}
である。
ポアソン分布との関係 (小数の法則)
二項分布
に対して $np = \lambda$ と置き、
$\lambda$ を一定にする条件の下で $n$ を大きくしてゆくと、
ポアソン分布に収束する。
すなわち、
が成り立つ。
これを
ポアソンの小数の法則と呼ぶ。