球面三角形の内角の求め方

最終更新 2018年 4月3日
  半径 $1$ の球上にある球面三角形の内角 $\alpha$ は、
球面三角形の内角を与える余弦定理
によって与えられる。 ここで $a,b,c$ がそれぞれ球面三角形を成す弧の角度である (下の図を参考)。 この式を球面三角形に関する余弦定理という。

  証明

  原点 $O$ を中心とする半径 $1$ の球上にある $3$ 頂点 $A,B,C$ によって構成される球面三角形を考える(下図参考)。
  点 $A$ における弧 $AB$ の 接ベクトルを $\mathbf{l}_{AB}$、 同じく点 $A$ における弧 $AC$ の 接ベクトルを $\mathbf{l}_{AC}$ と表し、 弧 $AC$ と 弧 $AB$ の成す角を $\alpha$ を、 これらの接ベクトルのなす角によって定義する。 すると、 内積とコサインの関係から
が成り立つ。 これより、
である。 よって、 接ベクトル $\mathbf{l}_{AB}$ と $\mathbf{l}_{AC}$ が求まれば、 角度 $\alpha$ が求まる。
  $\mathbf{l}_{AB}$ は弧 $AB$ に接するベクトルであるので、 弧 $AB$ を通る平面上にある (下図)。
従って、 この平面の法線ベクトルを $\mathbf{m}$ とすると、 $\mathbf{m}$ と $\mathbf{l}_{AB}$ は直交する。
ところで、 この平面は3点 $O$, $A$, $B$ を通る平面であるので、 法線ベクトル $\mathbf{m}$ はベクトル $\vec{OA}$ と $\vec{OB}$ の両方のベクトルと直交する。
ゆえに、 $\mathbf{m}$ は $\vec{OA}$ と $\vec{OB}$ の外積に平行なベクトルである。
したがって $(1)$ と $(2)$ から
である。
  一方、 接ベクトル $\mathbf{l}_{AB}$ は、 点 $A$ における球の接平面 $S_{\small A}$ 上にあるベクトルである(下図)。
したがって、 $S_{\small A}$ の法線ベクトル $\mathbf{n}$ と直交する。
また、 $\mathbf{n}$ は球の中心 $O$ と点 $A$ を結ぶベクトル $\vec{OA}$ と平行なベクトルである。
これらから $\mathbf{l}_{AB}$ は$\vec{OA}$ と直交することが分かる。 すなわち、
である。
  $(3)$ と $(4)$ から $\mathbf{l}_{AB}$ は、 ベクトル $\vec{OA} \times \vec{OB}$ と ベクトル $\vec{OA}$ との両方と直交する方向を向くベクトルであることが分かる。 したがって、 これらの外積によって
と表すことができる。 右辺をベクトル三重積の恒等式を用いて表すと、
となる。 ここで $A$ が半径 $1$ の球上の点であることから、
であること用いた。
  ここまでの議論と同じように考えると、 $\mathbf{l}_{AC}$ に関しては、
と表せることが分かる。
  さて、 弧 $AB$、$BC$、$CA$ の中心角をそれぞれ $a, b, c$ とする。 ただし、 $0 < a, b, c < \pi$ とする。
● 弧の中心角。 弧の半径が $1$ であるので、 中心角 $a$、$b$、$c$ は、 それぞれ弧 $BC$ の長さ、弧 $CA$ の長さ、 弧 $AB$ の長さに等しい (一般に角度は半径 $1$ の円の弧の長さによって定義される)。
  角度 $a$ が $\vec{OB}$ と $\vec{OC}$ のなす角、 角度 $b$ が $\vec{OC}$ と $\vec{OA}$ のなす角、 角度 $c$ が $\vec{OA}$ と $\vec{OB}$ のなす角であるので、 内積とコサインの関係から
が成り立つ。 ここで 点 $A,B,C$ がいずれも半径 $1$ の球上にある点であることから、
であるので、
が成り立つ。 これらを用いると、 $\mathbf{l}_{AB}$ と $\mathbf{l}_{AC}$ はそれぞれ
と表せる。
  これらから、
である。 ここで $0 < a < \pi$ としたことを用いた。 同様に
である。
  また、
である。 以上から、
を得る。
  この関係式を用いると、 球面三角形の内角を中心角(または弧の長さ)から求めることができる。