ケットベクトル、状態ベクトル、ブラケット

  量子力学では、ヒルベルト空間のベクトルを $ | \phi \rangle$ と表し、ケットベクトルと呼ぶ。 特に大きさが 1 のケットベクトル、すなわち、$\| | \phi \rangle \|^2 = 1$ を満たすベクトルを状態ベクトルと呼ぶ。

  また、ベクトルの内積をブラケットと呼ぶ。 ベクトル $| \psi \rangle$ と $| \phi \rangle$ のブラケットを $\langle \psi | \phi \rangle $ と表す。

最終更新 2015年 3月14日


  ブラケットの持つ性質

  ヒルベルト空間の内積は、複素内積空間の内積と変わりない。 上に定義したように、ブラケットはベクトル同士の内積であるので、 複素内積空間の内積と同様に以下の性質を持つ。

  ● 任意のベクトル $ | \phi \rangle $, $ | \psi_{1} \rangle $, $ | \psi_{2} \rangle $ に対して、

ブラケット01

が成立する。 左辺の $\langle \phi | \psi_{1} + \psi_{2} \rangle$ は、 ベクトル $| \phi \rangle$ と $| \psi_{1} \rangle + | \psi_{2} \rangle$ と の内積を表す。 ゆえに内積ルールによって、 $| \phi \rangle$ と $| \psi_{1} \rangle$ の内積と、 $| \phi \rangle$ と $| \psi_{2} \rangle$ の内積の和 (すなわち右辺に) に等しい。


  ● 任意のベクトル $ | \psi \rangle $ と 任意の複素数 $\alpha$ に対して、

ブラケット02

が成立する。 左辺の $\langle \phi | \alpha \psi \rangle$ は、 ベクトル $| \phi \rangle$ と $\alpha | \psi \rangle$ との内積を表す。 ゆえに内積ルールによって、 $| \phi \rangle$ と $| \psi \rangle$ の内積の $\alpha$ 倍に等しい。


  ● 任意のベクトル $ | \phi \rangle $, $ | \psi \rangle $ に対して、

$$ \langle \phi | \psi \rangle^{*} = \langle \psi | \phi \rangle $$
が成立する。 ここで左辺の $*$ は複素共役を表す。 複素内積空間において、一般に内積の複素共役は、 ベクトルを入れ替えた内積に等しいので上の関係が成立する。


  ● ベクトル $ | \psi \rangle $ に対して、

$$ \langle \psi | \psi \rangle = 0 \hspace{5mm} \Longleftrightarrow \hspace{5mm} | \psi \rangle = 0 $$
が成立する。 この性質は、複素内積空間において、 一般に同じベクトル同士の内積がゼロであることと、そのベクトルがゼロであることが同値であることに由来する。








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