半正定値行列

  半正定値行列の分解

  任意の半正定値行列 $P$ は、 正方行列 $Q$ とその転置行列 $Q^{T}$ によって、

半正定値行列の分解00

と分解することが出来る。
最終更新 2016年 7月23日


  証明

  任意のベクトル $\mathbf{x}$ に対して、 実対称行列 $P$ が

半正定値行列の分解01

を満たすとき、 $P$ を半正定値行列(positive semi-definite matrix) という。
  半正定値行列 $P$ は、 実対称行列であるので、 直交行列による対角化が可能である。 すなわち、

半正定値行列の分解02

を満たす直交行列 $R$ と対角行列 $\Lambda$ が存在する。
  直交行列 $R$ は、 $P$ の固有ベクトルによって次のように構成できる。 $P$ を $n$ 次の半正定値行列とし、 $P$ の固有値を $\lambda_{i}$ $(i=1,2,\cdots,n)$ と表す。 ただし、大きい方から順に

半正定値行列の分解03

と並んでいるものとする。
  一般に 半正定値行列の固有値は 0 以上であるので、 大きい方から $r$ 番目までの固有値が $0$ より大きいとし、 それ以降の固有値が $0$ であるとする。 すなわち、

半正定値行列の分解04

とする($r=n$ の場合は、全ての固有値が 0 より大きい)。
  このとき、 固有値 $\lambda_{i}$ の規格化された固有ベクトルを $\mathbf{p}_{i}$ とし、 行列 $R$ を

半正定値行列の分解05

と定義すると、 $(1)$ から

半正定値行列の分解06

となるので、 $R^{T} P R$ は、

半正定値行列の分解07

という形の行列になる。
  実対称行列の異なる固有値の固有ベクトルが互いに直交することから、

半正定値行列の分解08

が成立し、 固有ベクトルが 規格化されていることから、

半正定値行列の分解07

が成立する。 したがって、 $(2)$ は、

半正定値行列の分解10

と表せる。 ここで、 行列 $\Lambda_{r}$ を

半正定値行列の分解11

と定義した。
  $(1)$ で定義したように、 $\lambda_{i} > 0$ $(i=1,\cdots, r)$ であるので、 $\frac{1}{\sqrt{\lambda_{i}}} $ が存在する。 したがって、

半正定値行列の分解12

という形の行列 $S_{r}$ を定義できる。 この行列は、

半正定値行列の分解13

を満たすので、 実対称行列であり、 逆行列

半正定値行列の分解14

を持つ正則行列である。 なお、 $S_{r}^{-1}S_{r}=S_{r}S_{r}^{-1}=I$ が成立することは、 直接計算することにより確かめられる。
  $\Lambda_{r}$ に対して、 左右から $S_{r}$ を掛けると、 $(4) (5)$ から、

半正定値行列の分解15

となる。 ここで、 行列 $E_{r}$ を

半正定値行列の分解16

と定義した。 直接計算すると分かるように、 この行列には、

半正定値行列の分解17

半正定値行列の分解18

が成立する。
  $(3)$ の左右から $S_{r}$ を掛けると、 $(7)$ から、

半正定値行列の分解19

となる。
  $S_{r}$ が正則行列であり、 $R$ が直交行列であるので、 $(10)$ の左から $RS_{r}^{-1}$ を掛けて、 右から、$S_{r}^{-1}R^{T}$ を掛けると、 左辺は、

半正定値行列の分解20

となり、 右辺は、 $(8)(9)$ から

半正定値行列の分解21

となるので、

半正定値行列の分解22

を得る。
  ここで、 行列 $Q$ を

半正定値行列の分解23

と定義すると、 逆行列の転置行列が転置行列の逆行列になること、 および $(6)$ から、

半正定値行列の分解24

が成立するので、 $Q$ の転置行列は、

半正定値行列の分解25
となる。
  以上の $(11)(12)(13)$ から、 $P$ は、

半正定値行列の分解26

と表せる。








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