平面の方程式の導出、および符号付き距離

  任意の2点を結んだ直線が必ず1本のベクトル $\mathbf{n}$ と直交する集合を平面と呼ぶ。 平面上にある任意の点 $\mathbf{x}$ は、

平面の方程式の導出、および符号付き距離の意味の00

を満たす。 これを平面の方程式という。 また、$h$ を平面と原点との間の符号付き距離(signed distance)と呼ぶ。
最終更新 2016年 8月11日


    解説

 
はじめに:
  任意の2点を結んだ直線が必ず1本のベクトル $\mathbf{n}$ と直交する集合を平面と定義する。 また、便宜上 $\mathbf{n}$ の大きさを 1 とする($\| \mathbf{n}\| =1$)。 この定義をもとに、平面の方程式を求める。
平面の方程式の導出、および符号付き距離の意味の図00

平面の方程式:
  平面上の任意 $2$ 点の位置を表すベクトルを $\mathbf{x}_{1}$, $\mathbf{x}_{2}$ とすると、 それらを通る直線は、

平面の方程式の導出、および符号付き距離の意味の01

の方向を向く。 この方向が、$\mathbf{n}$ と直交するので、

平面の方程式の導出、および符号付き距離の意味の02
が成立する。 これより、

平面の方程式の導出、および符号付き距離の意味の03
である。
  従って、 $\mathbf{x}_{1}$ と $\mathbf{x}_{2}$ は、 $\mathbf{n}$ との内積が同じ値になる。 この値を $h$ とすると、

平面の方程式の導出、および符号付き距離の意味の04

である。
  ところで、 $\mathbf{x}_{1}$, $\mathbf{x}_{2}$ は、 平面上の任意の点の位置を表すベクトルであったので、 $(1)$ は、$\mathbf{x}_{1}$ と $\mathbf{x}_{2}$ だけでなく、 平面上の任意の点の位置 $\mathbf{x}$ に対して成立する。 すなわち、

平面の方程式の導出、および符号付き距離の意味の05

が成立する。
  このように、平面上の任意の点 $\mathbf{x}$ は、 $\mathbf{n}$ と $h$ によって定義される条件 $(2)$ を満たす。 これを平面の方程式と呼ぶ。 また、 $\mathbf{n}$ を平面の法線ベクトルと呼び、 $h$ を符号付き距離と呼ぶ。 それらの幾何学的な意味について以下に記す。


符号付き距離:
  原点から $\mathbf{n}$ の方向に伸びる直線を $L$ とする。 平面上の任意の点 $\mathbf{x}$ の直線 $L$ 上への射影を $\mathbf{x}_{0}$ とすると、

平面の方程式の導出、および符号付き距離の意味の06

である (ここで $\| \mathbf{n} \| = 1$ を用いた)。 これより、

平面の方程式の導出、および符号付き距離の意味の07

であるので、射影 $\mathbf{x}_{0}$ は、平面の方程式 $(2)$ を満たす。よって、 $\mathbf{x}_{0}$ は平面上の点である(下図)。
平面の方程式の導出、および符号付き距離の意味の図01
  また、 $(2)$ と $(3)$ から、射影 $\mathbf{x}_{0}$ は、

平面の方程式の導出、および符号付き距離の意味の08

と表せる。 従って、 $\mathbf{x}_{0}$ は 直線 $L$ 上の点のうち、 原点から $\mathbf{n}$ の方向に $h$ だけ進んだ位置にある平面上の一点である。
  平面上の任意の点 $\mathbf{x}$ を
平面の方程式の導出、および符号付き距離の意味の09

と表すと、 第一項と第二項は直交するベクトルになる。 実際 $(2)$ と $(4)$ から

平面の方程式の導出、および符号付き距離の意味の10

が成立する。 これより、 $ \mathbf{x} $ のノルムの二乗は、

平面の方程式の導出、および符号付き距離の意味の11
となるので、

平面の方程式の導出、および符号付き距離の意味の12
が成立する。
  この関係は、平面上の点の中で $\mathbf{x}_{0}$ が 原点に最も近づく点であることを表している。 そこで、原点から平面までの距離 $H$ を、原点から $\mathbf{x}_{0}$ までの距離として定義すると、 $(4)$ から、

平面の方程式の導出、および符号付き距離の意味の13

である。
  このように、 $h$ の絶対値は、原点から平面までの距離を表す。 一方で、$h$ そのものは内積で定義されていることから分かるように、 正の値になる場合と負の値になる場合、および $0$ になる場合の $3$ パターンがありうる。 以下では、それぞれのパターンについて考察する。


$h > 0$ の場合:
  $h$ が正である場合には、 $(5)$ から、

平面の方程式の導出、および符号付き距離の意味の13

である。、 $h$ は、原点と平面との距離に等しく、正の数である。 この場合には、$(4)$ より、 $\mathbf{x}_{0}$ は $\mathbf{n}$ と同じ方向を向く(下図)。
平面の方程式の導出、および符号付き距離の意味の図02
$h < 0$ の場合:
  $h$ が負である場合には、$(5)$ から、

平面の方程式の導出、および符号付き距離の意味の14

である。 $h$ は、原点と平面との距離にマイナスを掛けたものであり、負の数である。 この場合には、 $(4)$ より、 $\mathbf{x}_{0}$ は、 $\mathbf{n}$ と反対方向を向く(下図)。
平面の方程式の導出、および符号付き距離の意味の図03

$h = 0$ の場合:
  $h$ が $0$ である場合、$(4)$ から、

平面の方程式の導出、および符号付き距離の意味の15

であるので、 $\mathbf{x}_{0}$ は原点に位置する。 $(5)$ から、この場合には、

平面の方程式の導出、および符号付き距離の意味の16

であるので、 原点と平面との距離は $0$ であり、平面は原点を通過する(下図)。
平面の方程式の導出、および符号付き距離の意味の図04

  以上のように $h$ は、法線と射影点 $\mathbf{x}_{0}$ の位置が同じ向きである場合には、 原点と平面との距離 $H$ を表す正の値になる。 一方、反対向きに場合には、距離 $H$ にマイナスの符号を付けた負の値になる。 このような意味で、$h$ を 符号付き距離と呼ぶ。









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