周期関数について解説 ~具体例・性質 ~
周期関数の定義
関数 $f(x)$ が
を満たすとき、$T$ を関数 $f(x)$ の
周期といい、
$f(x)$ を
周期関数という。
具体例
$(1)$
三角関数
は、
周期 $2 \pi$ の関数である。
$(2)$
任意の整数 $n$ に対して、
関数 $f_{n}(x)$ を
と定義し、
これを用いて
$f(x)$ を
と定義すると、
$f(x)$
は周期 $T$ の関数である。
解説
$(1)$
が成り立つので、
$\sin x$ は周期 $2 \pi$ の関数である。
$(2)$
の区間内では
である。
このとき、
$x+T$ は
の区間内であるので、
である。
以上から、
が成り立つので、
$f(x)$ は周期 $T$ の関数である。
和・差・積・商
関数 $f(x)$ と $g(x)$ が周期関数のとき、
$h_{+}(x) = f(x) + g(x)$ もまた周期関数である。
すなわち、
\begin{eqnarray}
h_{+}(x+T) &=& f(x+T)+g(x+T)
\\
&=& f(x) + g(x)
\\
&=& h_{+}(x)
\end{eqnarray}
が成り立つ。
$h_{-}(x) = f(x) - g(x)$ もまた周期関数である (証明略)。
$k(x) = f(x) g(x)$ もまた周期関数である。
すなわち、
\begin{eqnarray}
k(x+T) &=& f(x+T)g(x+T)
\\
&=& f(x) g(x)
\\
&=& k(x)
\end{eqnarray}
が成り立つ。
$g(x) \neq 0$ とする。
このとき、
$l(x) = \frac{f(x)}{g(x)}$ もまた周期関数である。
すなわち、
\begin{eqnarray}
l(x+T) &=& \frac{f(x+T)}{g(x+T)}
\\
&=& \frac{f(x)}{g(x)}
\\
&=& l(x)
\end{eqnarray}
が成り立つ。
整数倍の周期
$f(x)$
が
周期 $T$ の関数であるとき、
整数 $n$ に対して、
$$
\tag{2.1}
$$
が成り立つ。すなわち、
$f(x)$ は周期 $nT$ の関数でもある。
証明
$f(x)$
が周期 $T$ の関数であるので、
$n$ が正の整数の場合、
が成り立つ。
$n$ が負の整数の場合、
$m=-n$ と置くと、
が成り立つ。$n=0$ の場合、$(2.1)$ は自明に成り立つ。
したがって、
任意の整数 $n$ に対して
$(2.1)$ が成り立つ。
$f(kx)$ の周期
$f(x)$
が
周期 $T$ の関数であるとき、
関数 $f(kx)$ の周期は $\frac{T}{k}$ である。
すなわち、
が成り立つ。
証明
はじめに
と置くと、
$f(x)$ が周期 $T$ の関数であることから、
が成り立つ。
したがって、$g(x)$ は周期 $\frac{T}{k}$ の周期関数である
(すなわち、$f(kx)$ は周期 $\frac{T}{k}$ の周期関数である)。
積分範囲が周期の場合
周期 $T$ の関数$f(x)$ に対して、
$a \neq b$ かつ $0 \leq a,b \leq T$
のとき、
が成り立つ。すなわち、積分範囲の大きさが $T$ の積分は、
どこから積分しても値が変わらない。
証明
はじめに積分を
$$
\tag{5.1}
$$
を分ける。
右辺の第二項に対して
$y=x-T$ と置くと、
$f$ が周期 $T$ の周期関数であることから、
と表せるので、
$(5.1)$ に代入すると、
$$
\tag{5.2}
$$
が成り立つことが分かる。
$b$ に対しても同様に考えて、
$$
\tag{5.3}
$$
が成り立つことが分かるので、
を得る。