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  パラメータ曲線の長さを表す積分

  滑らかな曲線 $(x(t), y(t))$ の長さ $L$ は、

曲線の長さの証明00

である。 ここで、 $a$ と $b$ は、 それぞれ曲線の始点と終点に対応するパラメータ $t$ の値である。

最終更新 2016年 7月9日


  解説

 
準備:   滑らかな曲線
  一般に関数 $f(t)$ がある区間で滑らかであるとは、 その区間で

$\hspace{20mm} \bullet$ $f(t)$ が微分可能
$\hspace{20mm} \bullet$ $f'(t)$ が連続

であることをいう。
  従って、曲線 $(x(t), y(t))$ が滑らかであるとは、 曲線が定義される $t$ の区間で、

$\hspace{20mm} \bullet$ $x(t)$ と $y(t)$ が微分可能
$\hspace{20mm} \bullet$ $x'(t)$ と $y'(t)$ が連続

であることをいう。
  曲線の長さを議論するとき、 通常は、 パラメータ $t$ と点の位置 $(x(t), \hspace{1mm} y(t)) $ は、 一対一に対応すると仮定される。 この仮定は、 交差点を持たない曲線のみを考察対象にすることに意味する。 よって、 下の図のような曲線は、議論から除外される。
曲線の長さの図00

このような滑らかで交差のない曲線に対して、 これから述べる長さを定義すると、 その長さ $L$ が積分

曲線の長さの証明00

に等しいことを証明するのが、 このページの内容である。


曲線の長さ :
  曲線の始点と終点の間に $n-1$ 個の分点を設け、 それらを $T_{1}, T_{2}, \cdots, T_{n-1}$ と表す。 これらは、 始点から終点に向けて順番に並んでいるものとする。
  また、 曲線の始点と終点をそれぞれ $T_{0}$ と $T_{n}$ とし、 点 $T_{0}, T_{1}, \cdots, T_{n-1}, T_{n}$ に対応するパラメータを、 それぞれ

曲線の長さの証明01

とする。 このとき、 点 $T_{i}$ の位置は、

曲線の長さの証明02

と表される。 下の図は $n=7$ の場合である。

曲線の長さの図01
  分点 $T_{i-1}$ と $T_{i}$ を結ぶ線分の長さを $L_{i}$ とすると、 $(1)$ より、

曲線の長さの証明03

である。 始点から終点までに含まれる全ての線分についての総和は、

曲線の長さの証明04

である。
  線分を繋いだ線が描く軌跡は、 分点 $T_{i}$ の間隔を小さくすればするほど、 曲線に近づくと直観的に考えられるので、 線分の長さの総和 $(2)$ もまた、 分点の間隔を小さくすればするほど、 曲線の長さに近づくと考えられる。 分点の間隔を小さくすることは、 パラメータ $t_{i}$ の間隔を小さくすることに相当するので、 $t_{i}$ の間隔を小さくするするほど、 $(2)$ の値が曲線の長さに近づくと考えられる。
  そこで、 各 $t_{i}$ 間の間隔の最大値

曲線の長さの証明05

によって、 曲線の長さ $L$ を

曲線の長さの証明06

と定義する。 ここで、 $n$ は固定の値ではなく、 どんなに大きな自然数をとってもよいものとする。 $\Delta \rightarrow 0$ の極限は、 各パラメータ分点 $t_{i}$ の間隔を限りなく小さくするので、 右辺は、 曲線の長さになると考えられる。

  以上のように曲線の長さを定義したが、 $(4)$ の右辺の極限がどんな曲線に対しても有限な値をとるとは限らないことが知られている。 一方、曲線が滑らかな場合には、 積分 $(*)$ に等しいことが知られており、以下のように証明される。


証明 :
  $(4)$ より、

曲線の長さの証明07
であるが、 $x(t)$ と $y(t)$ が微分可能であるから、 平均値の定理 より、

曲線の長さの証明08

を満たす $c_{x_{i}}$ と $c_{y_{i}}$ が区間 $(t_{i}, t_{i-1})$ に存在する。 これより、

曲線の長さの証明09

と表される。
  ここで

曲線の長さの証明10

の部分は、 原点から点 $ (x'(c_{x_{i}}) , y'(c_{y_{i}}) ) $ までの距離である。 この距離は、 原点から点 $ (x'(t_{i}) , y'(t_{i})) $ までの距離

曲線の長さの証明11

とは異なる。
  そこで距離 $(7)$ と $(8)$ 差を

曲線の長さの証明12

と定義すると、$(6)$ は、

曲線の長さの証明13

と表される。
  $x'(t)$ と $y'(t)$ が連続関数であるので、 第一項は、 定積分

曲線の長さの証明14
である。 よって、

曲線の長さの証明15
である。
  $(7)$ と $(8)$ がそれぞれ原点から点 $ (x'(c_{x_{i}}) , y'(c_{y_{i}}) ) $ までの距離と、 原点から点 $ (x'(t_{i}) , y'(t_{i})) $ までの距離を表していることから、 $(9)$ によって定義された $\epsilon_{i}$ に対して、 三角不等式を適用すると、

曲線の長さの証明16

が成立する (下の補足を参考)。 さらに右辺は、

曲線の長さの証明17
を満たす。 この不等式は、 両辺を二乗することによって、 確かめられる。
  よって、$(11)$ と $(12)$ から、

曲線の長さの証明18

が成立する。
  $\Delta$ を小さくすると、 区間 $(t_{i-1}, t_{i})$ が小さくなり、 $c_{x_{i}}$ と $c_{y_{i}}$ が区間 $(t_{i-1}, t_{i})$ に含まれるため、 $c_{x_{i}}$ と $c_{y_{i}}$ がともに $t_{i}$ に近づく。 このとき、 $x'(t)$ と $y'(t)$ が連続関数であるため、 $x'(c_{x_{i}})$ と $x'(c_{y_{i}})$ は、 それぞれ $x' (t_{i})$ と $x'(t_{i})$ に近づく。 このことは、 次のように表される。 すなわち、 任意の $\epsilon>0$ に対して、

曲線の長さの証明19

を成立させる $\Delta$ が存在する。 このような $\Delta$ をとれば、 $(13)$ より、

曲線の長さの証明20

が成立し、 その結果

曲線の長さの証明21

が成立する。 ここで、 右辺の $\sum_{i=1}^{n}(t_{i}-t_{i-1})$ は、 パラメータ間隔の総和であるので、 終点と始点の差に等しい。 すなわち、

曲線の長さの証明22

である。したがって、

曲線の長さの証明23

を成立させる $\Delta$ が存在する。
  $\epsilon'$ を

曲線の長さの証明24

と定義すると、 $\epsilon$ が任意なので、 $\epsilon'$ もまた任意の値である。 よって、 $(15)$ は次のように言い表される。 すなわち、 任意の $\epsilon' > 0$ に対して

曲線の長さの証明25

を成立させる $\Delta$ が存在する。 これは、 $\epsilon$ 論法によって、

曲線の長さの証明26
であることを意味する。
  $(10)$ と $(16)$により、

曲線の長さの証明27
を得る。


補足: 三角不等式 :
  任意のベクトル $\mathbf{a}$ と $\mathbf{b}$ に対して、 三角不等式

曲線の長さの証明28

が成立する。 ここで、

曲線の長さの証明29

とすると、 三角不等式は、

曲線の長さの証明30

と表される。

曲線の長さの証明31

とすると、

曲線の長さの証明32

であるので、 $(17)$ から、

曲線の長さの証明33

を得る。






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