正規直交基底の定義

  ベクトル空間 $V$ のベクトル

正規直交基底の定義と例00

が次の $3$ つの条件を満たすとき、すなわち、

 (i)  $V$ の任意のベクトルが $(*)$ の線形結合によって表される
 (ii)  どの2つのベクトルを選んでも、直交する。
 (iii)  どのベクトルも大きさが1である。

を満たすとき、 $(*)$ を $V$ の正規直交基底(orthonomal basis)、または、完全正規直交系という。
最終更新 2016年 6月12日


  解説と例

 
解説 :
(i) について :
  ベクトル空間 $V$ のベクトル

正規直交基底の定義と例00

が、 $V$ の任意のベクトルを

正規直交基底の定義と例01

のように、 線形結合によって表すことができるとき、 $(*)$ を $V$ の基底という。 従って、 条件 (i) は、 $(*)$ が $V$ の基底であることを表している。


(ii) について :
  ベクトルとベクトルの間の内積が $0$ であるとき、 それらが互いに直交するという。
  従って、 条件 (ii) は $(*)$ のどの2つのベクトルをとっても、 それらの内積が 0 になることを表している。 すなわち、$i \neq j$ である $i, j$ に対して、

正規直交基底の定義と例02

となることを表している。


(iii) について :
  ベクトルのノルムが $1$ であるとき、 ベクトルの大きさ、または長さが $1$ であるという。
  従って、 条件 (iii) は $(*)$ のどのベクトルのノルムも $1$ になることを表している。 すなわち、$i=1,2,\cdots, n$ に対して、

正規直交基底の定義と例03
となることを表している。


例1 :
  ベクトル空間 $V$ の任意のベクトル $\mathbf{v}$ が 基本ベクトル

正規直交基底の定義と例04

の線形結合によって表されるとき、 すなわち、

正規直交基底の定義と例05

と表されるとき、 $(1)$ は、 $V$ の基底であり、 条件 (i) を満たす。
  $(1)$ は

正規直交基底の定義と例06

を満たすので、互いに直交する。 ゆえに、条件 (ii) を満たす。
  また、$(1)$ は

正規直交基底の定義と例07

を満たすので、 $\| \mathbf{e}_{1}\| = \| \mathbf{e}_{2}\| = 1$ である。 ゆえに、条件 (iii) を満たす。
  以上から $(1)$ は、 $V$ の正規直交基底である。


例2 :
  例 1 で定義したベクトル空間 $V$ の任意のベクトル $\mathbf{v}$ は、

正規直交基底の定義と例08

の線形結合によっても表すことができる。 なぜなら、 $(1)$ は $(3)$ によって、

正規直交基底の定義と例09

と表されるので、 $(2)$ の $\mathbf{v}$ は、

正規直交基底の定義と例10

のように、 $(3)$ の線形結合によって表される。 従って、 $(3)$ は、 $V$ の基底であり、 条件 (i) を満たす。
  $(3)$ は !

正規直交基底の定義と例11

を満たすので、互いに直交する。 ゆえに、条件 (ii) を満たす。
  また、$(3)$ は

正規直交基底の定義と例12

を満たすので、 $\| \mathbf{e}_{1}'\| = \| \mathbf{e}_{2}'\| = 1$ である。 ゆえに、条件 (iii) を満たす。
  以上から $(3)$ は、 $V$ の正規直交基底である。



正規直交基底ではない例1 :
  例 1 で定義したベクトル空間 V の任意のベクトル $\mathbf{v}$ は、

正規直交基底の定義と例13

の線形結合によって表すことができる(証明は例2と同じように行えばよい)。 従って、 $(4)$ は、 $V$ の基底であり、 条件 (i) を満たす。
  $(4)$ は

正規直交基底の定義と例14

を満たすので、互いに直交する。
  また、$(4)$ は

正規直交基底の定義と例15

を満たすので、 $\| \mathbf{e}_{1}'\| = \| \mathbf{e}_{2}'\| = \sqrt{2}$ である。 ゆえに、条件 (iii) を満たさない。
  以上から $(4)$ は、 $V$ の正規直交基底ではない。 このように、(i) と (ii) だけを満たす場合には、 $V$ の直交基底(othogonal basis)と呼ぶ。



正規直交基底ではない例2 :
  例 1 で定義したベクトル空間 $V$ の任意のベクトル $\mathbf{v}$ は、

正規直交基底の定義と例16

の線形結合によって表すことができる。 なぜなら、 $(1)$ は $(5)$ によって、

正規直交基底の定義と例17

と表されるので、 $(2)$ の $\mathbf{v}$ は、

正規直交基底の定義と例18

のように、 $(5)$ の線形結合によって表される。 従って、 $(5)$ は、 $V$ の基底であり、 条件 (i) を満たす。
  $(5)$ は

正規直交基底の定義と例19

であるので、互いに直交しない。 ゆえに、条件 (ii) を満たさない。
  一方、$(5)$ は

正規直交基底の定義と例20

を満たすので、 $\| \mathbf{e}_{1}'''\| = \| \mathbf{e}_{2}'''\| = 1$ である。 ゆえに、条件 (iii) を満たす。
  以上から $(5)$ は、 条件 (ii) を満たさないので、 $V$ の正規直交基底ではない。 また、 条件 (ii) を満たさいことから、 $V$ の直交基底でもない。
  このように (i) と (iii) だけ満たす場合には、 $V$ の正規化された基底または規格化された基底(normalized basis)などと呼ばれる。




斜交座標系でベクトルを表す






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