正規行列の定義

  正方行列 $A$ が

正規行列の定義と例00

を満たすとき、$A$ を正規行列という。 ここで、$A^{\dagger}$ は、$A$ の随伴行列であり、$A$ の転置の複素共役である。 すなわち、

正規行列の定義と例01

である。
  以下では、正規行列の例を列挙し、それが正規行列であることの証明を添える。
最終更新 2015年 12月1日


  例1   実対称行列は正規行列

  正方行列 $A$ が

正規行列の定義と例02

かつ

正規行列の定義と例03

を満たすとき、$A$ を実対称行列という。
  $(*2)$ $(1)$ $(2)$ により、

正規行列の定義と例04

が成立するので、実対称行列は、正規行列である。


  例2   自己共役行列は正規行列

正方行列 $A$ が

正規行列の定義と例05

を満たすとき、$A$ を自己共役行列(自己随伴行列、または、エルミート行列)という。
  $(3)$ により、

正規行列の定義と例06

が成立するので、自己共役行列は、正規行列である。


  例3   実直交行列は正規行列

正方行列 $A$ が

正規行列の定義と例07

かつ

正規行列の定義と例08

を満たすとき、$A$ を実直交行列という。
  $(*2) (4) (5)$ により、

正規行列の定義と例09

が成立するので、実直交行列は、正規行列である。


  例4   ユニタリー行列は正規行列

正方行列 $A$ が

正規行列の定義と例10

を満たすとき、$A$ を実直交行列という。
  $(6)$ により、明らかに

正規行列の定義と例11

が成立するので、ユニタリー行列は、正規行列である。


  補足   正規行列が持つ大切な性質

  正規行列の重要な性質として、

(i) ユニタリー行列によって、対角化されること
(ii) 固有値の異なる固有ベクトルが互いに直交すること

が挙げられる。これらは、物理学や工学でしばしば用いられる定理である。 また、(i) と (ii) から、任意の正規行列の固有ベクトルによって完全正規直交系を構成できることが示される。 これもまたよく使われる定理であり、上の例の全てにこれらが成立する。









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