ニュートンの差分商補間公式の導出

最終更新 2017年 7月11日
  関数 $f(x)$ が $n$ 個の点
ニュートンの差分商補間公式の導出00
を通過することは分かっているが、 これら以外の点において、 どこを通るのか分かっていない。
  そんなときに、 任意の $x$ に対する $f(x)$ の値を、上記の $n$ 個の点から、関数
ニュートンの差分商補間公式の導出01
を通じて近似計算することが出来る。 ここで、 $f(x_{1},x_{2},\cdots,x_{k})$ は、$f(x)$ の差分商である。
  この関数をニュートンの差分商補間公式 (Newton's divided difference interpolation formula) と呼ぶ。

  証明

準備1:   差分商の定義
  階数の小さい差分商から順に定義して行く。
  $x = x_{1}, x_{2}$ に関する $1$ 階の差分商 $f(x_{1}, x_{2})$ は、
差分商補間公式はデータ点を通る02
と定義される。 式から分かるように、 $1$ 階の差分商は、$2$ 点
差分商補間公式はデータ点を通る03
の間を結ぶ直線の傾きである。
  $x = x_{1}, x_{2}, x_{3}$ に関する $2$ 階の差分商 $f(x_{1}, x_{2}, x_{3})$ は、 $1$階の差分商 $f(x_{1}, x_{2})$ と
差分商補間公式はデータ点を通る04
によって、
差分商補間公式はデータ点を通る05
と定義される。 すなわち、 2 階の差分商とは、 1 階の差分商の差分商である。
  同じように、 $x = x_{1}, x_{2}, \cdots, x_{n}$ に関する $n-1$ 階の差分商 $f(x_{1}, x_{2},\cdots,x_{n})$ は、 $n-2$ 階の差分商 $ f(x_{1}, x_{2},\cdots,x_{n-1}) $ と $ f(x_{2}, x_{3},\cdots,x_{n}) $ によって、
差分商補間公式はデータ点を通る06
と定義される。 すなわち、 n-1 階の差分商とは、 n-2 階の差分商の差分商である。


準備2:   $f(x)$ の差分商による表現
  関数 $f(x)$ が
差分商補間公式はデータ点を通る07
と表せることを帰納法によって証明する。
  $x, x_{1}$ に関する 1 階の差分商の定義
差分商補間公式はデータ点を通る08
を整理すると
差分商補間公式はデータ点を通る09
となるので、 $n=1$ の場合に $(1)$ が成立する。
  $n=k$ の場合、
差分商補間公式はデータ点を通る10
が成立すると仮定する。
  $x, x_{1}, \cdots, x_{k+1}$ に関する差分商は、
差分商補間公式はデータ点を通る11
であるが、 整理すると、
差分商補間公式はデータ点を通る12
となる。 これを $(2)$ に代入すると、
差分商補間公式はデータ点を通る13
となる。 従って、$(1)$ は、$n=k+1$ の場合にも成立する。
  以上から、帰納法によって、任意の $n$ に対して、 $(1)$ が成立することが示された。


公式の導出
$(1)$ の最後の項
ニュートンの差分商補間公式の導出14
剰余項と呼ばれる。 剰余項には、差分商 $f(x, x_{1},\cdots,x_{n})$ が含まれるので、 $f(x)$ が未知の場合には、計算することが出来ない。
  一方で、 $(1)$ から剰余項を取り除いて、 関数
ニュートンの差分商補間公式の導出15
を定義すると、 この関数は、 既知の点
ニュートンの差分商補間公式の導出16
から計算することが出来る。
  そこで、 $f_{n}(x)$ を $f(x)$ を近似する関数
ニュートンの差分商補間公式の導出17
と見なし、 未知の点を求めるときに、 $f(x)$ に代わって、 $ f_{n}(x)$ を用いて、 $f(x)$ の推定値とする。
  このような役割を果たす関数を補間関数と呼び、 $f_{n-1}(x)$ を n-1 階のニュートンの差分商補間公式と呼ぶ (剰余項を取り除かないままの式 $(1)$ をその名前で呼ぶこともある)。


補足:   補間公式の別の表現
  $(1)$ と似たような表現として、 $f(x)$ を
ニュートンの差分商補間公式の導出18
と表すこともできることを証明する。
  そのために、
ニュートンの差分商補間公式の導出19
が $m=1,2,\cdots, n$ に対して成立することを帰納法に従って証明する。
  $x_{n}$ と $x$ についての 1 階の差分商
ニュートンの差分商補間公式の導出20
を整理すると、
ニュートンの差分商補間公式の導出21
であるので、 $m=1$ の場合に $(3)$ は成立する。
  $m=k$ の場合に、 $(3)$ が成立すると仮定する。 すなわち、
ニュートンの差分商補間公式の導出22
を仮定する。 このとき、 $x_{n-k}, x_{n-(k-1)}, \cdots, x_{n}, x$ に関する $k$ 階の差分商
ニュートンの差分商補間公式の導出23
を整理すると、
ニュートンの差分商補間公式の導出24
となるが、 これを $(5)$ に代入すると、
ニュートンの差分商補間公式の導出25
となる。 したがって、 $m=k+1$ の場合にも、 $(4)$ は成立する。
  以上から、 帰納法によって、 $m=1,2,\cdots, n$ に対して、 $(4)$ は成立する。
  $(3)$ は、 $(4)$ の、 $m=n$ の場合である。 よって、 $(3)$ が成立する。<証明終わり>


  $(3)$ の最後の項は、 $x$ を含むので、 $f(x)$ が未知関数の場合には、 計算することができない。 そこで、 最後の項をを省いた関数を $\overline{f_{n}}(x)$ と表すと、 すなわち、
ニュートンの差分商補間公式の導出26
と表すと、 この関数は、 既知の点
ニュートンの差分商補間公式の導出27
から計算出来る。 これを $f(x)$ の近似関数と見なすと、 これもまた一つの補間公式となる。


補足:   2つの表現は同一の関数
  一見すると、 二つの公式 $f_{n}(x)$ と $\overline{f_{n}}(x)$ は、 異なる関数に見えるが、 実は同一の関数である。 なぜなら、 両者はともに $n$ 個の点
ニュートンの差分商補間公式の導出27
を通り、 一般に 「 $n$ 個の点を通る $n-1$ 次関数は唯一つである」からである。