2行2列の行列の対角化

  行列

2行2列の行列を対角化する例題00

を対角化せよ。
  また、$A$ を対角化する正則行列を求めよ。
最終更新 2016年 1月15日


  解答例

  行列の対角化とは、正方行列 $A$ に対し、

2行2列の行列を対角化する例題01

を満たす対角行列 $\Lambda$ を求めることである。 また、対角化する正則行列とは、上の行列 $P$ のことを指す。 ここでは、対角行列 $\Lambda$ を与えた後、正則行列 $P$ を求める。


● 対角行列 $\Lambda$ の導出
  一般に、 対角化された行列は、対角成分に固有値を持つ。 よって、$A$ の固有値を求めて、対角成分に並べれば、対角化した行列 $\Lambda$ が得られる。
  $A$ の固有値 $\lambda$ を求めるには、固有多項式

2行2列の行列を対角化する例題02

を $\lambda$ について解けばよい。 左辺は2行2列の行列式であるので、

2行2列の行列を対角化する例題03
である。 よって、$(1)$ は、

2行2列の行列を対角化する例題04

と表される。 左辺を因数分解して表すと、

2行2列の行列を対角化する例題05

となるため、解は
2行2列の行列を対角化する例題06

である。固有値が求められたので、対角行列 $\Lambda$ は、

2行2列の行列を対角化する例題07
である。


● 対角する正則行列 $P$ の導出
  一般に対角化可能な行列 $A$ を対角化する正則行列 $P$ は、$A$ の固有ベクトルを列ベクトルに持つ行列である (対角化可能のための必要十分条件の証明の $(\mathrm{S}3) \Longrightarrow (\mathrm{S}1)$ の部分を参考)。
  よって、$A$ の固有値 $\lambda= -1,1,2$ に対するそれぞれの固有ベクトルを求めれば、$P$ が得られる。

$\lambda=5$ の場合:
  固有ベクトルは、

2行2列の行列を対角化する例題08

を満たすベクトル $\mathbf{x}$ である。

2行2列の行列を対角化する例題09
と置いて、具体的に表すと、

2行2列の行列を対角化する例題10

である。各成分ごとに整理すると、連立一次方程式

2行2列の行列を対角化する例題11

が現れる。これを解くと、
2行2列の行列を対角化する例題12

である。 これより、固有ベクトルは、

2行2列の行列を対角化する例題13

である。 $x_{3}$ は、どんな値であってもよい(補足を参考)。 ここでは、便宜上 $x_{3}=1$ とし、

2行2列の行列を対角化する例題14
とする。
 

$\lambda=-2$ の場合:
  固有ベクトルは、

2行2列の行列を対角化する例題15

を満たすベクトル $\mathbf{x}$ である。

2行2列の行列を対角化する例題15
と置いて、具体的に表すと、

2行2列の行列を対角化する例題17

である。各成分ごとに整理すると、連立一次方程式

2行2列の行列を対角化する例題18

が現れる。これを解くと、

2行2列の行列を対角化する例題19

である。 これより、固有ベクトルは、
2行2列の行列を対角化する例題20

である。 $x_{3}$ は、どんな値であってもよい(補足を参考)。 ここでは、便宜上 $x_{3}=1$ とし、

2行2列の行列を対角化する例題21
とする。

  上述したように、行列 $A$ を対角化する正則行列 $P$ は、固有ベクトルを列ベクトルに持つ行列であるので、 $(3)(4)$ より、

2行2列の行列を対角化する例題22
である。

  結果の確認

  $(5)$ で得られた行列 $P$ が実際に行列 $A$ を対角化するかどうかを確認する。 すなわち、行列 $P$ と 対角行列 $\Lambda$ が
2行2列の行列を対角化する例題23

を満たすかどうか確認する。
  そのためには、$P$ の逆行列 $P^{-1}$ を求めなくてはならない。


逆行列 $P^{-1}$ の導出:
  掃き出し法によって逆行列 $P^{-1}$ を求める。 そのためには、$P$ と単位行列 $I$ を横に並べた次の行列
2行2列の行列を対角化する例題24

を定義し、行基本変形によって、左半分の行列を単位行列にすればよい。

2行2列の行列を対角化する例題25

その結果として右半分に現れる行列 $X$ が $A$ の逆行列になる (証明は掃き出し法による逆行列の導出を参考)。 この方針に従って、上の行列の行基本変形を行うと、

2行2列の行列を対角化する例題26

である。 よって、逆行列 $P^{-1}$ は、

2行2列の行列を対角化する例題27
である。

  これより、$P^{-1}AP$ は、

2行2列の行列を対角化する例題28

となるので、確かに行列 $P$ は、行列 $A$ を対角化する行列になっている。

 補足:   連立一次方程式の解が不定になることについて

  固有ベクトルを求めるときに現れた連立一次方程式の解には、 任意性が含まれていたが、これは、次のような理由による。
  固有ベクトルを求めるときには、連立一次方程式

2行2列の行列を対角化する例題29

を固有多項式

2行2列の行列を対角化する例題30

の条件のもとで導出する。
  一般に、

行列式が 0 $\hspace{2mm} \Longleftrightarrow \hspace{2mm}$ 列ベクトルが互いに線形独立ではない

が成立するので、 行列 $\lambda I -A$ の列ベクトルは互いに線形独立ではない。 これより、

「$\lambda I -A$ の列ベクトルのに含まれる線形独立な列ベクトルの最大数」$\hspace{40mm}$
$\hspace{60mm} < \hspace{2mm}$ 「$\lambda I -A$ の列ベクトルの総数」

が成立する。 また、行列のランクの定義から

「行列 $\lambda I -A$ のランク」$\hspace{100mm}$
$\hspace{2mm} = \hspace{2mm}$ 「$\lambda I -A$ の列ベクトルに含まれる線形独立なベクトルの最大数」

であることから、
$$ 「行列 \hspace{2mm} \lambda I -A\hspace{2mm} のランク」 \hspace{2mm} < \hspace{2mm} 「\lambda I -A\hspace{2mm} の列ベクトルの総数」 \tag{7} $$ が成立する。
  ところで、 連立一次方程式の解が唯一つにならないための必要十分条件は、 係数行列のランクが列の数よりも少ないことであるから、 $(7)$ によって、連立一次方程式 $(6)$ の解が唯一つにならない(任意性を持つ)ことが示される。
  このように、 固有ベクトルを求める連立一次方程式の解は、 いつでも任意性を持つことになるが、 必要に応じて、固有ベクトルに対して、条件を課し、任意性を取り除くことがある。 そのとき、最も使われる条件は、規格化条件

2行2列の行列を対角化する例題32

である。ただし、これを課した場合には、 大きさ 1 の数の分だけの任意性が残されるので、それぞれの問題に相応しいように、その任意性を決めなくてはならない。










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