関数の商の極限  

最終更新 2017年 6月20日
  関数 $f(x)$ と $g(x)$ の $x \rightarrow a$ における極限がそれぞれ
であるとき、 関数の商 $\frac{f(x)}{g(x)}$ の極限は、
関数の商の極限、関数の分数の極限
となる。 ここで $\beta \neq 0$ である。
  その結果、
が成り立つ。

  解説

 
準備
  関数 $g(x)$ の極限が
であるとは、 次のように定義される。 すなわち、任意の正の値 $\epsilon$ に対して
を満たす正の値 $\delta$ が存在する。
  $\epsilon$ が任意の正の値であるので、 どんなに小さな正の値の場合にも $(1)$ を成り立たせる正の値 $\delta$ が存在することを意味している。 このことを踏まえて以下の証明に進む。
証明
  初めに
を示す。
  $g(x)$ が
の極限を持つと、 定義により、 任意の正の値 $\epsilon$ に対して
を満たす正の値 $\delta$ が存在する。
  このとき、
と表せることから、 任意の正の値 $\epsilon$ に対して
を満たす正の値 $\delta$ が存在することが分かる。
  この関係が任意の正の値 $\epsilon$ に対して成り立つので、
を満たす $\epsilon$ に対しても成り立つ。 このとき、 $\beta<0$ の場合、
を満たすので、
が成立する。 なぜなら $(2)$ 式の右側を書き直すと、
となるからである。 よって、 $\beta < 0$ の場合には、 $(3)$ を満たす正の値 $\epsilon$ に対して
を満たす正の値 $\delta$ が存在する。
  一方で $\beta>0$ の場合、 $(3)$ であるならば
であるので、 $(4)$ より
である。 よって、 $\beta > 0$ の場合には、 $(3)$ を満たす正の値 $\epsilon$ に対して
を満たす正の値 $\delta$ が存在する。
  以上をまとめると、 $(3)$ を満たす $\epsilon$ に対して、
を満たす正の値 $\delta$ が存在することが示された。
  ところで、 この関係が成り立つ範囲 $(3)$ の中には、 $0$ に限りなく近い値の $\epsilon$ も含まれる。 よって 任意の正の $\epsilon'$ に対して
を満たす $\epsilon$ も含まれる。 このような $\epsilon$ に対しても $(5)$ の関係が成り立つので、 任意の正の値 $\epsilon'$ に対して、
を満たす正の値 $\delta$ が存在することが分かった。
  まとめると、 任意の正の値 $\epsilon'$ に対して
を満たす正の値 $\delta$ が存在する。 これは極限
の定義そのものである。 以上から $\beta \neq 0$ の場合
が成り立つことが示された。
  続いて
であるとし、 $\beta \neq 0$ の場合
を示す。
  関数 $\frac{f(x)}{g(x)}$ は、 関数 $f(x)$ と関数 $1/g(x)$ の積であり、 $(6)$ と $(7)$ からそれぞれの極限が $\alpha$ と $1/\beta$ である。 そこで、 関数の積の極限が極限値の積になる性質
として適用すると、ただちに、
が成り立つことが分かる。
  したがって、この関係と $(6)$ から
が成り立つことが示された。