関数の積の極限

最終更新 2017年 6月24日
  関数 $f(x)$ と $g(x)$ の極限がそれぞれ
であるとき、 積 $f(x) g(x)$ の極限は、
関数の積の極限
となる。 その結果、
が成り立つ。

  証明


準備
  数列 $f(x)$ の極限値が
であるとは、 次のように定義される。 すなわち、 任意の正の数 $\epsilon$ に対して、
を満たす正の数 $\delta$ が存在する。
  同じように、 数列 $g(x)$ の極限値が
であるとは、 任意の正の値 $\epsilon$ に対して、
を満たす正の数 $\delta$ が存在する。
  これらを踏まえて以下のように証明する。
証明
  任意の正の値 $\epsilon'$ に対して、 正の値 $\epsilon_{a}$ と $\epsilon_{b}$ を次のように定義する。
$(1)$ は任意の正の値 $\epsilon$ に対して成り立つので、 $\epsilon = \epsilon_{a}$ の場合にも成り立つ。 すなわち、
を満たす正の数 $\delta_{a}$ が存在する。 同じように、 $(2)$ は任意の $\epsilon'$ に対して成り立つので、 $\epsilon = \epsilon_{b}$ の場合にも成り立つ。 すなわち、
を満たす正の数 $\delta_{b}$ が存在する。
  ここで、 $\delta_{a}$ と $\delta_{b}$ よりも小さな任意の正の数を $\delta$ とする。 すなわち、 $\delta$ を
によって定義する。 こうすると、 $(4)$ から $\delta$ は、
を満たし、 $(5)$ から
を満たす。
  ところで、 三角不等式 を用いると、
が成り立つが、 これと $(6)$ と $(7)$ によって、
を満たす正の数 $\delta$ が存在することが分かる。 加えに $(6)$ の右側から
が成り立つ(下の補足を参考)ので、
を満たす $\delta$ が存在することが分かる。
  この関係の右側と $(3)$ から、 $\beta \neq 0$ の場合
が成り立ち、 一方、 $\beta = 0$ の場合
が成り立つ。
  よって、 いずれの場合にも、 任意の正の値 $\epsilon'$ に対して、
を満たす正の数 $\delta$ が存在することが分かる。 これは、 $f(x) g(x)$ の極限が $\alpha \beta$ であることの定義そのものであるので、
が成り立つ。
  その結果、
が成り立つ。
補足:
$(6)$ の右側
を書き換えると、
と表せる。 この不等式を次の4つの場合に分けて考える。
それぞれの場合と $f(x)$ の取りうる範囲を表したのが下図である。
  (i) の場合、 図から分かるように $f(x)$ の絶対値は、 $\epsilon + \alpha$ の絶対値以下の値になる。 よって、 三角不等式から、
が成り立つ。
  (ii) の場合、 図から分かるように $f(x)$ の絶対値は、 $\epsilon_{a} + \alpha$ の絶対値以下になる。 よって、 三角不等式によって、
が成り立つ。
  (iii) の場合、 図から分かるように $f(x)$ の絶対値は $-\epsilon_{a} + \alpha$ の絶対値以下になる。 よって、 三角不等式から、
が成り立つ。 ここで (iii) の場合には、 $0 \leq \alpha$ であることを用いた。
  (iv) の場合、 図から分かるように $f(x)$ の絶対値は、 $-\epsilon_{a} + \alpha$ の絶対値以下になる。 よって、 三角不等式から
が成り立つ。 ここで (iv) の場合には、 $0 \leq \alpha$ であることを用いた。
  以上から、 いずれの場合にも
が成り立つ。