不確定性原理

  ケナードの不等式

  物理量 $Q$ と物理量 $P$ が $QP-PQ = i \hbar$ を満たす場合に、ロバートソンの不確定性原理からケナードの不等式が導出される。
$$ \frac{1}{2}\hbar \leq \sigma(Q) \sigma(P) $$
  歴史的には、ハイゼンベルグがガンマ線顕微鏡の思考実験から導いた結果 (ハイゼンベルグの不確定性原理) を 任意の波動関数に対してまで一般化したものだという。
最終更新 2015 年 1月31 日


  証明

  任意の物理量 $Q, P$ に対する標準偏差をそれぞれ $\sigma(Q), \sigma(P)$ とすると、 ロバートソンの不確定性原理によって $$ \frac{1}{2}\left| \langle [Q, P] \rangle \right| \leq \sigma(Q) \sigma(P) $$ が満たされる。 $\hbar = h/2\pi$ ($h$はプランク定数) とし、$Q$ と $P$ が $$ [Q, P] = i\hbar $$ が満たすとき、 $$ \frac{1}{2}\left| \langle i \hbar \rangle \right| \leq \sigma(Q) \sigma(P) $$ である。ここで任意の量子状態を $\rho$ とすると、$\mathrm{Tr} [ \rho ] = 1$ より $$ \langle i \hbar \rangle = \mathrm{Tr} [ i\hbar \rho ] = i\hbar \mathrm{Tr} [ \rho ] = i\hbar $$ 以上より $$ \frac{1}{2}\hbar \leq \sigma(Q) \sigma(P) $$ である。

  ハイゼンベルグの不確定性原理との違い

  ケナードの不等式をハイゼンベルグの不確定性原理と呼ぶこともあるが、 正確には異なる。ケナードの不等式が二つの物理量の標準偏差の積に対する不等式であるのに対して、ハイゼンベルグの不確定性原理は、 一つの物理量 $Q$ を測定したときに発生する誤差 $\epsilon(Q)$ と、 そのときに別の物理量 $P$ が受ける影響(擾乱と呼ぶ) $\eta(P)$ が次の不等式を 満たすというものである。すなわち $$ \epsilon(Q) \eta(P) \geq \frac{1}{2}\hbar $$ である。
  近年、ハイゼンベルグの不確定性原理が必ずしも成立せず、代わりに別の不等式が成立することを示す研究が行われている。







ページのトップへ戻る