逆行列は片方のみで定義してよい

最終更新 2016年 12月23日
  正方行列 $A$ と $B$ が $AB=I$ を満たすとき、$BA = I$ が成立する。 すなわち
逆行列は片方のみで定義してよい00
が成立する。
  このことから、逆行列は
逆行列は片方のみで定義してよい01
の条件だけで定義できる。

  証明

  $ AB=I $ が成立するとき、$AB$ の行列式は
逆行列は片方のみで定義してよい02
である。
  一般に行列の積の行列式は、個々の行列の行列式の積に等しいので、
逆行列は片方のみで定義してよい03
が成立する。これより、
逆行列は片方のみで定義してよい04
である。
  一般に行列式がゼロでない行列は逆行列を持つので、
逆行列は片方のみで定義してよい05
を満たす行列 $A^{-1}$ が存在する。 これより
逆行列は片方のみで定義してよい06
と表せる。
  $AB=I$ から、右辺は、
逆行列は片方のみで定義してよい07
である。
  ゆえに
逆行列は片方のみで定義してよい08
が成り立つ。


補足
  上の議論より、
逆行列は片方のみで定義してよい09
が成立する。 これは $B$ が $A$ の逆行列であることを表している(逆行列の定義)。 ゆえに、正方行列の逆行列は片側だけ (すなわち $AB=I$ のみ) を定義すればよい。
  この関係は、有限次元を考える限り正しいが、 無限次元の場合には、一般的には成立しない。