掃き出し法による逆行列の導出

  計算の具体例に関しては、こちらを参考にするとよい。

掃き出し法で3行3列の逆行列を求める例
掃き出し法で4行4列の逆行列を求める例


ここでは、一般論を述べる。



  $n$ 次の正則行列 $A$ の逆行列を求めるためには、

掃き出し法による逆行列の求め方00

満たす行列 $X$ を求めればよい。これを満たす $X$ は、$XA=I$ も満たすので、逆行列となる(逆行列は片側のみで定義可能を参考)。
  互いに直交する単位ベクトル $\mathbf{e}_{i}$ $(i=1,2,\cdots,n)$ を

掃き出し法による逆行列の求め方01

と定義すると、単位行列 $I$ は

掃き出し法による逆行列の求め方02

と表せる。
  また $X$ の列ベクトルを $\mathbf{x}_{i}$ を $(i=1,2,\cdots,n)$ とすると、

掃き出し法による逆行列の求め方03

であるので、$AX=I$ は、

掃き出し法による逆行列の求め方04

と表される。
  左辺は $\left[ A\mathbf{x}_{1}, A\mathbf{x}_{2}, \cdots, A\mathbf{x}_{n} \right] $ に等しいので、

掃き出し法による逆行列の求め方05

が成立する。
  両辺のそれぞれの列ベクトルが等しいので、$i=1,2,\cdots, n$

掃き出し法による逆行列の求め方06

が成立する。
  $(*)$ は連立一次方程式である。 $A$ は正則行列なので、$(*)$ は唯一つの解を持つ。 ゆえに、連立一次方程式を解き、$\mathbf{x}_{i}$ を求め、それを列ベクトルとする行列 $X$ を

掃き出し法による逆行列の求め方07

とすると、それが $A$ の逆行列になる。
最終更新 2015年 8月8日


  掃き出し法による効率化

  連立方程式 $(*)$ を解く一つの方法は、掃き出し法である。 掃き出し法によると、$n \times (n+1)$ の行列 $ \left[ A\hspace{2mm} \mathbf{e}_{i} \right] $ 行列の基本変形によって、

掃き出し法による逆行列の求め方08

と変換した結果として現れる $\mathbf{c}_{i}$ が解 $\mathbf{x}_{i}$ に等しい。
  このように変換するためには、 行列 $A$ を単位行列 $I$ へと変換する行基本変形を行えばよい。 単位ベクトル $\mathbf{e}_{i}$ がどれであるかは関係なく、 どんな $\mathbf{e}_{i}$ に対しても、同一の行基本変形を行うことによって、上の変換が達成される。
  そこで、次のような $n \times 2n$ の行列

掃き出し法による逆行列の求め方09

を定義し、行列 $A$ を単位行列 $I$ へと変換する行基本変形を行うと、 一回で全ての $\mathbf{c}_{1}\hspace{2mm} \mathbf{c}_{2}\hspace{2mm} \cdots\hspace{2mm} \mathbf{c}_{n}$ が求められる。 すなわち、

掃き出し法による逆行列の求め方10

という基本変形が可能である。
  先ほど述べたように、各 $\mathbf{c}_{i}$ は $A\mathbf{x}_{i} = \mathbf{e}_{i}$ の解 $\mathbf{x}_{i}$ に等しいので、 これらを列ベクトルとする行列 $X$ を

掃き出し法による逆行列の求め方11

と定義すると、これが行列 $A$ の逆行列になる。










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