行基本変形で列の一次関係は不変

  $m$ 行 $n$ 列の任意の行列 $A$ の列ベクトルを $\mathbf{a}_{1}, \mathbf{a}_{2}, \cdots, \mathbf{a}_{n}$ と表す。

一次関係は不変00

$A$ を任意の行基本変形した行列を $A^{e}$ とし、 列ベクトルを $\mathbf{a}_{1}^{e}, \mathbf{a}_{2}^{e}, \cdots, \mathbf{a}_{n}^{e}$ と表す。

一次関係は不変01

このとき、$A$ の列ベクトルが数 $x_{1} , x_{2}, \cdots, x_{n} $ と

一次関係は不変02

の関係を持つならば、$A^{e}$ の列ベクトルも同じ関係を持つ。すなわち、

一次関係は不変03

が成立する。
  $(*)$ や $(**)$ の関係を一次関係という。
最終更新 2016 年 2月3日


  準備

  行基本変形とは、 行列に対して次の操作を行うことを指す。

(1) 行を定数倍する。
(2) ある行と他の行を入れ替える。
(3) ある行に他の行の定数倍を加える。

ここでは、$(*)$ を満たす行列 $A$ が(1)(2)(3)のどの変形を行った後でも $(**)$ を満たすことを示す。 便宜のため行列 $A$ を

一次関係は不変04

と表す。このとき $A$ の列ベクトルは、

一次関係は不変05

であり、$(*)$ は次のように表される。

一次関係は不変06



  行基本変形 (1) に対する証明

  行基本変形 (1) により、行列 $A$ の $i$ 行が定数 $c$ 倍された場合、 変換後の行列 $A^{e}$ は、

一次関係は不変07

である。このとき $A^{e}$ の列ベクトルは、

一次関係は不変08

である。
  (*3) が成立しているならば、

一次関係は不変09

の関係も成立するので、

一次関係は不変10


を得る。これを $A^{e}$ の列ベクトルによって表すと、

一次関係は不変11

である。
  以上から、 行列 $A$ が $(*)$ を満たすとき、 行基本変形(1)を行った後の行列 $A^{e}$ は、 $(*)$ と同一の一次関係 $(**)$ を満たす。

  行基本変形 (2) に対する証明

  行基本変形 (2) により、 行列 $A$ の $i$ 行と $j$ 行が入れ替わった場合、 変換後の行列 $A^{e}$ は、

一次関係は不変12

である。 このとき $A^{e}$ の列ベクトルは、

一次関係は不変13

である。
  (*3) が成立するならば、 以下の式も成立する。

一次関係は不変14


なぜならばこの式は $(*)$ の順番を入れ替えた式に過ぎない。
  これを $A^{e}$ の列ベクトルによって表すと、

一次関係は不変15

である。
  以上から、 行列 $A$ が $(*)$ を満たすとき、 行基本変形 (2) を行った後の行列 $A^{e}$ は、 $(*)$ と同一の一次関係 $(**)$ を満たす

  行基本変形 (3) に対する証明

  行基本変形 (3) により、 行列 $A$ の $i$ 行に $j$ 行の $c$ 倍が加えられた場合、 変換後の行列 $A^{e}$ は、

一次関係は不変16

である。 このとき $A^{e}$ の列ベクトルは、

一次関係は不変17

である。
  (*3) が成立しているときには、

一次関係は不変18

も成立する。ゆえに、

一次関係は不変19


を得る。これを $A^{e}$ の列ベクトルによって表すと、

一次関係は不変20


である。
  以上から、 行列 $A$ が $(*)$ を満たすとき、 行基本変形 (3) を行った後の行列 $A^{e}$ は、 $(*)$ と同一の一次関係 $(**)$ を満たす。

  まとめ

  行基本変形 (1)(2)(3) のいずれを行っても、列ベクトルの一次関係 $(*)$ が保たれるので、 任意の行基本変形を行ったとしても、列ベクトルの一次関係は変わらない。







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