2行2列の固有値と固有ベクトル

最終更新 2016年 11月27日
  2行2列の行列
2行2列の固有値と固有ベクトルを求める例00
の固有値と固有ベクトルを求めよ。

  解説

固有値の導出
  2行2列の行列
2行2列の固有値と固有ベクトルを求める例01
の固有値と固有ベクトルをそれぞれ $\lambda$ と $\mathbf{x}_{\lambda}$ とする。 すなわち、
2行2列の固有値と固有ベクトルを求める例02
とする。ここで、
2行2列の固有値と固有ベクトルを求める例03
である (このような値 $\lambda$ とベクトル $\mathbf{x}_{\lambda}$ が存在することは、固有値と固有ベクトルの存在を参考)。
  $(1)$ は、 単位行列 $I$ を用いて
2行2列の固有値と固有ベクトルを求める例04
と表せる。
  この式は、 係数行列を $(\lambda I - A)$ とする同次連立一次方程式(右辺が0になっている連立一次方程式)であるので、 $ \mathbf{x}_{\lambda} \neq \mathbf{0} $ の解を持つことと、 係数行列の行列式が 0 であることが同値である。 よって、
2行2列の固有値と固有ベクトルを求める例05
が成立する。 この式を具体的に表すと、
2行2列の固有値と固有ベクトルを求める例06
である。 これは、 2行2列の行列式であるので、
2行2列の固有値と固有ベクトルを求める例07
と表せる。 整理すると、 $\lambda$ に関する2次方程式
2行2列の固有値と固有ベクトルを求める例08
となる。 よって、 2次方程式の解の公式から $\lambda$ を求めると、
2行2列の固有値と固有ベクトルを求める例09
と固有値が得られる。


固有値ベクトルの導出
  上で求めた固有値をそれぞれ
2行2列の固有値と固有ベクトルを求める例10
と置き、 それぞれの場合に対して固有ベクトルを求める。
$\lambda= \lambda_{+}$ の場合
  固有ベクトルを
2行2列の固有値と固有ベクトルを求める例11
と置くと、 $(2)$ は、
2行2列の固有値と固有ベクトルを求める例12
である。 これは、 連立一次方程式
2行2列の固有値と固有ベクトルを求める例13
であるので、第一式から解を求めると、 $a_{12}\neq 0$ の場合、
2行2列の固有値と固有ベクトルを求める例14
である。 よって、 この場合の固有ベクトルは、
2行2列の固有値と固有ベクトルを求める例15
と表される。
  一方、$a_{12} = 0$ の場合、
2行2列の固有値と固有ベクトルを求める例16
となるので、 $(3)$ の第二式から
2行2列の固有値と固有ベクトルを求める例17
が成立する。 このとき、 $a_{11} -a_{22} \neq 0$ であるならば、
2行2列の固有値と固有ベクトルを求める例18
である。 よって、 この場合の固有ベクトルは、
2行2列の固有値と固有ベクトルを求める例19
である。 $a_{11} -a_{22} = 0$ であるならば、
2行2列の固有値と固有ベクトルを求める例20
が成立し、 $a_{21} \neq 0$ であるならば、
2行2列の固有値と固有ベクトルを求める例21
である。 よって、 この場合の固有ベクトルは、
2行2列の固有値と固有ベクトルを求める例22
と表せる。 反対に、 $a_{21}= 0$ であるならば、 固有ベクトルは任意のベクトルになる。 なぜなら、この条件( $a_{12}=a_{21}=0$ かつ $a_{11}=a_{22} = \lambda_{+}$ )の下では、 行列 $A$ が単位行列の定数倍、 すなわち、
2行2列の固有値と固有ベクトルを求める例23
となるので、 任意のベクトル $\mathbf{x}$ が
2行2列の固有値と固有ベクトルを求める例24
を満たすからである。
  以上まとめると、 固有値 $\lambda_{+}$ を持つ固有ベクトルは、
● $a_{12} \neq 0$ の場合
2行2列の固有値と固有ベクトルを求める例25
● $a_{12} = 0$ かつ $a_{11} \neq a_{22}$の場合
2行2列の固有値と固有ベクトルを求める例26
● $a_{12} = 0$ かつ $a_{11} = a_{22}$ かつ $a_{21}\neq 0$ の場合
2行2列の固有値と固有ベクトルを求める例27
● $a_{12} = 0$ かつ $a_{11} = a_{22}$ かつ $a_{21}= 0$ の場合、 任意のベクトル
2行2列の固有値と固有ベクトルを求める例28
である。
  ここで、 $x_{+}$ や $y_{+}$ は値の定まらない定数であり、 固有ベクトルにはこの分の不定性が含まれる。 多くの場合、 これらの定数をベクトルの長さが $1$ になるように、 すなわち、 $\|x \|^2 =1$ になるように定義する。 この操作を規格化と呼ぶ。
$\lambda= \lambda_{-}$ の場合
  固有ベクトルを
2行2列の固有値と固有ベクトルを求める例29
と表すと、 $(2)$ は、
2行2列の固有値と固有ベクトルを求める例30
である。 これは、 連立一次方程式
2行2列の固有値と固有ベクトルを求める例31
であるので、第二式から解を求めると、 $a_{21}\neq 0$ の場合、
2行2列の固有値と固有ベクトルを求める例32
である。 よって、 この場合の固有ベクトルは、
2行2列の固有値と固有ベクトルを求める例33
と表される。
  一方、$a_{21} = 0$ の場合、
2行2列の固有値と固有ベクトルを求める例34
となるので、 $(4)$ の第一式から
2行2列の固有値と固有ベクトルを求める例35
が成立する。 このとき、 $a_{22} -a_{11} \neq 0$ であるならば、
2行2列の固有値と固有ベクトルを求める例36
である。 よって、 この場合の固有ベクトルは、
2行2列の固有値と固有ベクトルを求める例37
である。 $a_{11} -a_{22} = 0$ であるならば、
2行2列の固有値と固有ベクトルを求める例38
が成立し、 $a_{12} \neq 0$ であるならば、
2行2列の固有値と固有ベクトルを求める例39
である。 よって、 この場合の固有ベクトルは、
2行2列の固有値と固有ベクトルを求める例40
と表せる。 反対に、 $a_{12}= 0$ であるならば、 固有ベクトルは任意のベクトルになる。 なぜなら、この条件( $a_{12}=a_{21}=0$ かつ $a_{11}=a_{22} = \lambda_{-}$ )の下では、 行列 $A$ が単位行列の定数倍、 すなわち、
2行2列の固有値と固有ベクトルを求める例41
となるので、 任意のベクトル $\mathbf{x}$ が
2行2列の固有値と固有ベクトルを求める例42
を満たすからである。
  以上まとめると、 固有値 $\lambda_{-}$ を持つ固有ベクトルは、
● $a_{21} \neq 0$ の場合
2行2列の固有値と固有ベクトルを求める例43
● $a_{21} = 0$ かつ $a_{11} \neq a_{22}$の場合
2行2列の固有値と固有ベクトルを求める例44
● $a_{21} = 0$ かつ $a_{11} = a_{22}$ かつ $a_{12}\neq 0$ の場合
2行2列の固有値と固有ベクトルを求める例45
● $a_{21} = 0$ かつ $a_{11} = a_{22}$ かつ $a_{12}= 0$ の場合、 任意のベクトル
2行2列の固有値と固有ベクトルを求める例46
である。
  ここで、 $x_{-}$ や $y_{-}$ は値の定まらない定数であり、 固有ベクトルにはこの分の不定性が含まれる。 多くの場合、 これらの定数をベクトルの長さが $1$ になるように、 すなわち、 $\|x \|^2 =1$ になるように定義する。
例題
2行2列の固有値と固有ベクトルを求める例47
の場合、 $a_{11} = a_{22} = 0$ かつ $a_{12}=a_{21}=1$ であることから、 固有値は、
2行2列の固有値と固有ベクトルを求める例48
である。
  固有値 $\lambda_{+}$ を持つ固有ベクトルは、 $a_{12}\neq 0$ であるので、
2行2列の固有値と固有ベクトルを求める例49
である。
  固有値 $\lambda_{-}$ を持つ固有ベクトルは、 $a_{21}\neq 0$ であるので、
2行2列の固有値と固有ベクトルを求める例50
である。