上三角行列の行列式

最終更新 2017年 11月1日
  上三角行列 $A$ の行列式は対角成分の積に等しい。すなわち
上三角行列の行列式
が成り立つ。 証明を以下に記す。

  証明

  $A$ を $n$ 次の上三角行列
上三角行列
とする。
  この行列の $1$ 列めの列ベクトルは、 第 $2$ 成分より下の成分が全て $0$ になっている (四角で囲った部分)。 このような行列の行列式は、 $1$ 行 $1$ 列の成分 (すなわち $A_{11}$) と、 もとの行列から $1$ 行と $1$ 列を取り除いた小行列の行列式の積に等しいことが知られている。 これより、
と表せる。
  上の式の右辺に現れた行列式は、 再び $1$ 列めの列ベクトルの第 $2$ 成分以降が $0$ になっている。 したがって同じように、
と表せる。 したがって、 これらより、
であることが分かる。
  同様の考察を繰り返すと、
となる。 すなわち、 $A$ の行列式が対角成分の積に等しいことが示される。
補足:
  余因子展開を用いて同様の証明を行うことも可能であるが、 本サイトでは、 余因子展開を証明するときに、 $1$ 列めの列ベクトルの第 $2$ 成分以降が $0$ である行列式の性質を用いているので、 こちらを使って証明を行った。